HOME > 神仙の存在について(1) -有神論で成り立つ日本の国体-
 
 
#00163 2012.3.31
神仙の存在について(1) -有神論で成り立つ日本の国体-
 
 
 この話は、宮地厳夫先生(宮内省式部掌典として明治天皇の側近を務められ、また秘かに宮地神仙道の道統を継承されていた神道界の重鎮)が、明治43年に華族会館において神仙の実在について講演された筆記録で、この講演筆記は当時の国学院雑誌をはじめ、神道界の諸雑誌にも掲載されたものです。(現代語訳:清風道人)

 これより神仙のことについてお話いたしますが、私が仙人の記伝を取り調べるようになったのにはいささか理由がありますから、まずその理由よりお話することにいたしましょう。
 それは我国の明治維新以来の世の状況を見ますと、追々と物質の学問が盛んになりまして、科学的な研究、いわゆる形而下のことのみ論じて精神上のことは棄ててしまう趨勢になって来ましたので、このまま進んで行きましたら、ついに世の中は無神論になってしまいそうに見えます。もし我国が全くの無神論となってしまった暁には、実に云いようのない不都合な結果を見なければならないこととなります。 #0093【世界太古伝実話(2) -古伝と神話-】>> #0094【世界太古伝実話(3)-最も早く開けた国】>> #0097【世界太古伝実話(6)-先入観による弊害-】>> #0098【世界太古伝実話(7)-無形想像の妄説-】>> #0099【世界太古伝実話(8)-有形想像の妄説-】>>

 その訳は、そもそも我が国家の組織はご承知のとおり有神論で出来ておりまして、伊勢神宮を始め奉り、官国弊社、府県郷村社より無格社に至るまで、十数万を数える神社は、みな神霊の鎮座し給う所として祭られております。今さら申すまでもありませんが、その証拠に、現に今上陛下(明治天皇)より勅使を立てられてその神社に幣帛(へいはく)を奉らせられる時のご祭文には、「平らけく安らけく聞食(きこしめ)して、天下(あめがした)の百姓等(おおみたから)を守り幸(さきは)へ給ひて」と書されてありまして、全く厳存し在らせられる神霊に申さしめ給う御詞(みことば)であります。この他、維新の始めの五箇条の御誓文、憲法発布の際、日清日露両戦役の時のような国家重大の事件が起こった時には、必ずその都度、皇祖皇宗の神霊に告げさせられることは今さら申すまでもないことであります。

 殊(こと)に宮中の多くの典礼の中でも、元始祭、紀元節のような御親祭は、陛下が百官を率いられて御親(みみずか)ら御祭典を行わせられ、なお新嘗祭(にいなめさい)などは陛下御親(みみずか)ら夕暁の神饌(しんせん)を奉られ、徹夜して執り行わせられる国家の厳儀大典となっております。その他、枚挙に遑(いとま)なく祭祀が行われていることはご承知のとおりでありますが、みな冥々の裡(うち)に在らせられる神霊へ仕え奉らせられる御儀であって、全く有神論を以て立てられた式典であることは申すまでもありません。 #0046【陰徳を積む】>>
 これはただ、朝廷のみの儀式ではありません。前にも申しました我国数十万の神社を祭ってある全国の郡村もまた、各々その土地の氏神産土神に仕え奉ってあるのは、有神論を認めてこのような風俗をなして来たことも、これまた申すまでもないことであります。 #0135【地球上の幽顕の組織定まる】>> #0139【『仙境異聞』の研究(4) -産土神のこと-】>>

 これらの儀式風俗は取りも直さず、皇祖皇宗がお立てなされ、お遺しなされた遺法でありまして、建国の始めより上は歴朝の御祖宗、下は臣民我々の先祖代々が共に従い守って、この皇統一系古今一日のような国体を立て来たれるのは、全くこの美風によるもので、我が国家の基礎たるものはこの他にはありません。ところが前に申したように、学問の変遷によってもしも無神論に成りきってしまうようなことでもあったら、この国家の基礎が破れて諸外国と何の違いもない国となってしまいます。実に我国にとってこれ以上の不都合はあるまいと思います。

 そこでぜひともに、どこかで有神論を鼓吹する者がなくてはならない今日の場合と考えますので、広く内外の書について取り調べてみましたが、有神無神の論は今に始まったことではありませんで、これは人々の信ずるところに任ずる以外にありませんけれども、我々は断じて有神を信ずるところよりその証拠を挙げるのが最も必要であることを感じた次第であります。
 そこでいろいろな方面から証拠立ててみますに、仙人とか天狗とか幽霊とか申す類のものも、やはり幽冥に属するもので、このものが確実に存在することが明白に知られるようになれば、なおその上に神が厳存し給うことも自然に判然といたす道理であります。 #0023【この世界だけがすべてではない】>> #0024【幽顕分界という歴史的事実】>> #0137【『仙境異聞』の研究(2) -山人・天狗・仙人とは?-】>>

 ところで今日の世の中の状態から申しますと、正面から神のことを申したならば、頑冥固陋(がんめいころう)の言葉としてほとんど聴き手はありますまい。とにかく人が耳を傾けなければ何を申しても仕方がありませんので、少し人の耳目を新たにしまして、神仙とか仙人とか申す方で話をいたせば、その名が珍しく聴こえますので、人の心を惹くことができようかと考えつきました。これが、私が神仙のことを調べるようになった動機であります。
 
 
 
清風道人
カテゴリ:神仙の存在について
 

←前へ

|

次へ→

 

最初の記事からのリスト
 
 ▼関連記事一覧
#0099 2011.4.18
世界太古伝実話(8) -有形想像の妄説-
 この話は、大正3年に行われた宮地巖夫先生(1847~1918、宮内省式部掌典として明治天皇の側近を務められた明治における神道界の重鎮)による講話を筆記したものの一部(導入部分)を、僭越ながら、後学の徒、清風道人が現代語風におきかえたものです。( #0098【世界太古伝実話(7)-無形想像の妄説-】>> より続く)

 なおまたこれについて、つ
カテゴリ:世界太古伝実話 続きを読む>>
 
#0098 2011.4.12
世界太古伝実話(7) -無形想像の妄説-
 この話は、大正3年に行われた宮地巖夫先生(1847~1918、宮内省式部掌典として明治天皇の側近を務められた明治における神道界の重鎮)による講話を筆記したものの一部(導入部分)を、僭越ながら、後学の徒、清風道人が現代語風におきかえたものです。( #0097【世界太古伝実話(6)-先入観による弊害-】>> より続く)

 さて、前に立ち戻りまし
カテゴリ:世界太古伝実話 続きを読む>>
 
#0097 2011.4.7
世界太古伝実話(6) -先入観による弊害-
 この話は、大正3年に行われた宮地巖夫先生(1847~1918、宮内省式部掌典として明治天皇の側近を務められた明治における神道界の重鎮)による講話を筆記したものの一部(導入部分)を、僭越ながら、後学の徒、清風道人が現代語風におきかえたものです。( #0096【世界太古伝実話(5)-日本に集う世界の宗教-】>> より続く)

 また、この世界太古
カテゴリ:世界太古伝実話 続きを読む>>
 
#0094 2011.3.23
世界太古伝実話(3) -最も早く開けた国-
 この話は、大正3年に行われた宮地巖夫先生(1847~1918、宮内省式部掌典として明治天皇の側近を務められた明治における神道界の重鎮)による講話を筆記したものの一部(導入部分)を、僭越ながら、後学の徒、清風道人が現代語風におきかえたものです。( #0093【世界太古伝実話(2) -古伝と神話-】>> より続く)

 このような訳で、古伝と神話
カテゴリ:世界太古伝実話 続きを読む>>
 
#0093 2011.3.18
世界太古伝実話(2) -古伝と神話-
 この話は、大正3年に行われた宮地巖夫先生(1847~1918、宮内省式部掌典として明治天皇の側近を務められた明治における神道界の重鎮)による講話を筆記したものの一部(導入部分)を、僭越ながら、後学の徒、清風道人が現代語風におきかえたものです。( #0092【世界太古伝実話(1) -神代という時代-】>> より続く)

 ここに今一つ、申し上げ
カテゴリ:世界太古伝実話 続きを読む>>
 
#0046 2010.8.4
陰徳を積む
 日本国憲法第一条には、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とありますが、日本国民でさえも、天皇陛下の仕事のことを詳しく知る人は少ないようです。

 天皇(やまとことばではスメラミコト)とは、日本国に君臨する国王ではなく、また民を支配する皇帝でもなく、敬神(神を敬い先祖を敬う
カテゴリ:玄学の基本 続きを読む>>
 
#0024 2010.4.6
幽顕分界という歴史的事実
 日本の古伝によると、世のはじめ、いわゆる「神代」といわれる時代は、現在のように顕界(あらわよ)と幽界(かくりよ)とが判然と分かれていなかったために、神と呼ばれる存在と人間とが雑居する時代でした。 #0023【この世界だけがすべてではない】>> 
 「大祓詞(おおはらえのことば)」にも、「草の垣葉をも語(こと)止(や)めて」とある
カテゴリ:玄学の基本 続きを読む>>
 
#0023 2010.3.31
この世界だけがすべてではない
 わたしたちが日常生活をおくっているこの世界を、やまとことばで「あらわよ(顕界)」といい、わたしたちの五感で感知できない異次元世界を「かくりよ(幽界)」といいます。そして宮地水位先生の『異境備忘録』に「幽界は八通りに別れたれども、またその八通りより数百の界に別れたり」とあるように、この幽界には、尊い神々の世界をはじめ、神の眷属(けんぞく)の世界
カテゴリ:玄学の基本 続きを読む>>
 


 
 
 
 (google
     新規会員登録
 
カードでのお申し込み
銀行振込でのお申し込み
 
◎特定商取引に基づく表記
◎プライバシーポリシー
SSLページは通信が暗号化され
プライバシーが守られています。

携帯サイトはこちらから
 お知らせ
 
◎(NEW!)消費増税に伴う購読料変更のお知らせ
  

◎会員様へのご案内メールについて
  

◎携帯サイトURLはこちら
  

◎Q&Aについて
  

◎今後の掲載予定
  

  Q&A(会員様のみ)
 
質問をする(会員様のみ)
今までの質問へのお答え
◎同性婚について
◎大祓詞について
◎滝行について
◎産土神について
◎日本古学を深く学ぶために
◎宮中で女性がお仕えするわけ他
◎天孫降臨の地
◎「道を得る」を登山に例えると
◎「縁」は「産霊の徳」によって編まれる
◎宮地神仙道について
◎日本の国体を護持される高僧
◎社会人としてのマナーを守りましょう
◎「悟り」を日本古学的に考えると
◎それぞれの「道」
◎神仙の道を修するということ
◎真偽の見分け方
◎「仙童」寅吉が念仏仏教を嫌った訳
◎道を得る法
◎少名彦那神が常世国へ渡られた理由
◎ヤマタノオロチと熊野
◎先祖供養について
◎イエス・キリストのこと
◎己の器の大きさを知る
◎魂で感じる
◎ダークエネルギーとダークマター
◎宇宙の意思
◎幽界と顕世は表裏一体
◎神仙得道の法
◎輪廻転生
◎仏縁
◎神火清明 神水清明
◎鏡について(2)
◎鏡について
◎洗米の処理
◎霊症から身を守る方法
◎罪穢れの解除
◎霊性向上とは?
◎大物主神(2)
◎大物主神
◎妖怪とは?
◎天皇を祀る
◎神=エネルギー?
◎はらいきよめ
◎人はなぜ生まれ変わるのか?
◎たましひの響き
◎動物について
◎生命が宿る瞬間
◎オーラ
◎「気」について
◎女性と黄泉国
◎アトランティス文明について
◎太陽と月と地球の関係
◎「心と体のリセット」について
 
 閲覧回数トップ10
悠久不死の玄道(1) -人生の疑問-
祈りの真道(1) -人の生涯は祈りの連続-
霊魂と肉体(6) -霊魂の種子-
霊魂の研究(1) -四魂の説-
宮地神仙道要義(1) -序に代へて-
扶桑皇典(1) -人智の狭隘-
扶桑皇典(3) -天地開闢・上-
『本朝神仙記伝』の研究(1) -饒速日命-
『異境備忘録』の研究(59) -運気の盛衰-
『本朝神仙記伝』の研究(23) -小野篁-

 
  カテゴリ
玄学の基本
日本の神伝
世界太古伝実話
『仙境異聞』の研究
神仙の存在について
神道講話
清明伝
神道宇宙観略説
尸解の玄理
『幽界物語』の研究
怪異実話
『異境備忘録』の研究
『本朝神仙記伝』の研究
無病長生法
扶桑皇典
君子不死之国考
神剣之記
日本は神仙往来の要路
東王父・西王母伝
混沌五岳真形図説
生類の霊異
空飛ぶ人々
霊魂と肉体
神人感合説
水位先生の門流
祈りの真道
霊魂の研究
悠久不死の玄道
宮地神仙道要義
 
 以前の記事
2020/8
2020/7
2020/6
2020/5
2020/4
2020/3
2020/2
2020/1
2019/12
2019/11
2019/10
2019/9
2019/8
2019/7
2019/6
2019/5
2019/4
2019/3
2019/2
2019/1
2018/12
2018/11
2018/10
2018/9
2018/8
2018/7
2018/6
2018/5
2018/4
2018/04
2018/3
2018/2
2018/1
2017/12
2017/11
2017/10
2017/9
2017/8
2017/7
2017/6
2017/5
2017/4
2017/3
2017/2
2017/1
2016/12
2016/11
2016/10
2016/9
2016/8
2016/7
2016/6
2016/5
2016/4
2016/3
2016/2
2016/1
2015/12
2015/11
2015/10
2015/9
2015/8
2015/7
2015/06
2015/5
2015/4
2015/3
2015/2
2015/1
2014/12
2014/11
2014/10
2014/9
2014/8
2014/7
2014/6
2014/5
2014/4
2014/3
2014/2
2014/1
2013/12
2013/11
2013/10
2013/9
2013/8
2013/7
2013/6
2013/5
2013/4
2013/3
2013/2
2013/1
2012/12
2012/11
2012/10
2012/9
2012/8
2012/7
2012/6
2012/5
2012/4
2012/3
2012/2
2012/1
2011/12
2011/11
2011/10
2011/9
2011/8
2011/7
2011/6
2011/5
2011/4
2011/3
2011/2
2011/1
2010/12
2010/11
2010/10
2010/9
2010/8
2010/7
2010/6
2010/5
2010/4
2010/3
2010/2
2010/1
2009/12
 
 
 
サイトご利用にあたって プライバシーポリシー 会員規約 お問い合せ
Copyright(C) NIHONKOGAKUACADEMY