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#00870 2023.11.30
天地組織之原理(111) -造化と神政-
 
 
 或る人問ふ、御講述により天地幽顕共に主権の帰する所を明らかにし、雀躍歓喜の至りなり。吾神典の講究にして未だ嘗て主権の帰する所、かくの如く明瞭として気脈相通じたるものなることは心付かざりし所なり。就ては益々心意を確立せんが為に君位の神と臣位の神の別に付き、聊(いささ)か疑点ある所を承り置きたし。 #0869【天地組織之原理(110) -主権君位の神-】>>
 まず前の御講述にて主権君位神九柱なることは明らかなるを、八百万神に内に於て独化隠身の神と坐す葦牙彦遅神、天之常立神、国之常立神、豊雲野神の四柱、又五元神、祓戸神等、又大山祇神、大綿津見神、或は豊受神、少彦名神等は全く臣位の神とも窺はれず、この神等(かみたち)は如何なる神なりや。研究参考の為伺ひ置きたし。

 答ふ、御尤もの御質疑なり。御尋ねの通りこの神等は八百万神中聊か異なる神等にして多く幽にのみ属し給ふ神にて、独化隠身四柱の神等は幽中造化御分担の神にて、申さば両皇産霊大神の御連絡の魂とも窺はるゝことなれば、造化神御付属の魂と窺ひ奉らるゝなり。
 又五元神と申すは造化の大元材たる五元そのものを掌り給ひて、造化上御分担の神等にして常に幽に属し給ふ神なれば、他の八百万神と違ひ独化隠身四柱神と同じく造化付属の魂の神にして、神体を顕し給ふこと無く神言を発し給ふ等のこと無き神なり。
 尤もこの中に於て火神のみは体生の神に坐して一度神体を顕して生じ給ひ、御配偶のこともあれども更に神言を発し給ふ伝無く、特に神体は斬られ給ひて失ひたれば、他の五元神と同じく魂神にて幽にのみ属し給ふなり。

 又祓戸神も禍津日神の一柱のみ五十猛神或は大屋毘古神と御別名の上に神体を顕し給ひて須佐之男命の御神業を助け給ひ、大国主神の御神業を助け給へる等のことあるも、御本霊は幽にのみ属し給ひ、四柱とも御連絡の魂にて天照大御神と須佐之男命の御付属の神に坐せば他の八百万神と異なり。
 又大山祇神、大綿津見神も山海そのものを御分担遊ばさるゝ一種主権の神にして、二柱とも分体奇成の神に坐せば体生八百万神と異なる所あり。大国主大神の御幽政中、山に属する神仙界と海に属する神仙界等は全く大国主大神の御幽政をこの二柱神にて御分担遊ばさるゝものゝ如く窺はれ、何れも神仙府を掌り給ふ等一種主権の神にして、皇孫命降臨の後、天津日高御子(あまつひこみこ)等の御配偶はこの大山祇神と大綿津見神の御神系の姫神等なれば、吾国一系正統の皇胤も御母方はこの両大神の御神胤なれば、皇統にも深き御由緒ある神なるを知るべきなり。

 これ等のことを以て考ふるに、神代第二期中に奇成の神等は、天照大御神と須佐之男命二柱の貴子と坐す承祖の神を除くの外は皆幽に属し給ふを常とする神等にて、顕に神体を顕し給ふことはその変化なりと窺はるゝなり。
 この外第二期中奇成の神にては速秋津日子・速秋津比売神の二柱、河海によりて持ち別て生み坐せる八柱の水分神(みくまりのかみ)等、又大山祇神と野椎神(のづちのかみ)の二柱、山野によりて持ち別て生み坐せる八柱の狭霧神(さぎりのかみ)等も皆幽に属し給ひ、神体出顕のこと無きは全く何れも造化御付属の御魂にして他の八百万神と異なる所あり。これ則ち奇成神の特に奇(く)しく坐して幽に属するを本旨と為し給ふ所以(ゆえん)なり。

 然れども幽顕相通の神代には又幽顕の間配偶も相通することにて、その間に御子をも成し給ふことなるが、その御子神等に至りては又体生の八百万神と同じく坐すなり。且つ前に御質問の豊受神は造化の上に大功業坐すのみならず、神体は犠牲に供し給ひて全く幽にのみ属する魂神と坐し、天照大御神もこれを祭り給ふ程の神に坐し、又少彦名神は葦牙彦遅神の御変化の神体にして、素より造化付属の魂より成り出で給へるが故に大国主大神の造化大成の神業を助け給ひ、大国主と坐す主権の神の御義弟にして出顕出没無量の御神術坐し、或る時は顕界造化を助け給ひ、後に常世国に渡り給ひし程の神にて八百万神に異なる所あり。

 かくの如き理由あるによりて、こゝに御質問の独化隠身の神より少彦名神までの神等は多く幽に属する造化御分担の神にて臣位神とは申し難き神なれども、天津御祖大神(あまつみおやのおおかみ)の大主権の上より申す時は、高皇産霊大神に坐しても天照大御神を高天原の大君としてこれを御補佐遊ばさるゝことなれば、九柱の主権の神等の外は皆この大権の臣位とも申すべきか。これ等を参考として神明の上に於ても造化と神政の二つあることを窺ひ奉り、万神にも造化に属し給ふ神と神政に属し給ふ神の別あるを知るべきなり。

 尤も主権君位の神は素より造化と神政の両方を相兼ね給ふは勿論、その他の万神と雖(いえど)も又これを兼ね給ふことあるべけれども、その専掌し給ふ所は別あり。尤も造化に顕造化と幽造化の別ありて、前に挙げたる奇成の神等は皆幽造化にして幽中造化の神機に参興し給ふ神等なり。その内、祓戸神四柱のみ幽中の神政を助け給ふ方、専らなる神と窺はる。前々の講述に合せて参考あるべし。
 
 
 
清風道人
カテゴリ:天地組織之原理
 

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#00869 2023.11.24
天地組織之原理(110) -主権君位の神-
 或る人問ふ、前の御講述中、大国主神に地球上の大主権の帰したるは須佐之男大神の御神勅にて明らかなることなるが、天津神・国津神と多く坐す中に於て主権の坐す神はこの他幾柱なりや。又その主権の帰する所は如何なる理由によるものなりや承り置きたし。

 答ふ、御質問の義は特に神典の講究に於て至要のことなれば、神代第五期皇孫命降臨の後に至り合せて講述すべ
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