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#0099 2011.4.18
世界太古伝実話(8) -有形想像の妄説-
 
 
 この話は、大正3年に行われた宮地巖夫先生(1847~1918、宮内省式部掌典として明治天皇の側近を務められた明治における神道界の重鎮)による講話を筆記したものの一部(導入部分)を、僭越ながら、後学の徒、清風道人が現代語風におきかえたものです。( #0098【世界太古伝実話(7)-無形想像の妄説-】>> より続く)

 なおまたこれについて、つらつらと考えてみますに、この「無形想像」の本地垂迹説を実行して以来、千有余年の間、我が皇室や国家が衰運に陥り給いて在らされたのは、全くこれが原因となったものであり、最も有害無益であったことが明白になって、神仏の混淆(こんこう)を取り分けられましたが、果たせるかな、維新以来、今日のような皇室国家の隆盛を見奉る御世となりました。

 しかし今度は「無形想像」の反対に、地震とか山脈とか、金石器や遺骨などの有形物を材料として種々に想像を描き、極めてもっともらしく、また正確らしく説を立てますから、知らず知らずの内に多くの人々が誘惑されて雷同し、心酔することとなるものと見えます。 #0097【世界太古伝実話(6)-先入観による弊害-】>>
 しかしながら今度の学説においても、その材料こそ有形でありますが、想像は想像であって別に違いはないはずですから、その想像が的中しているか全く外れているかは、限りある人智をもって確定することはできません。人間の想像というものは、十中、八、九は外れがちなものであり、前の無形想像の説が的中しなかったことを思えば、今度の有形想像の説もまた、全く外れていることは少しも疑う余地はないところであります。この千有余年前以来、明治維新までを「無形想像の世」と申すべきならば、今日もまた「有形想像の世」と申すべきでありましょう。

 これについてなお考えますに、この有形想像の学説は、及ばずながら我々などは、早くから信じるに値しないことを看破して、このように反対いたしますから、まさか千年以上前において、例の無形想像の本地垂迹説を事実として我が国家に実行したように、またこの有形想像の祖宗外来説を事実として、これに応じた実行を試みるようなことはあるまいと思いますが、人心の変化と申すものは甚(はなは)だ奇なるもので、本地垂迹説のように、今日より見れば実に虚言に等しい想像の妄説に過ぎませんが、当昔にあってはこれが正確なものと認められ、天下一般に事実と信じられて実行もされたことでありますから、今度の有形想像説も、我々がいかに至誠をもってこれを防いでも耳を傾ける者なく、これを実行しようとするかもしれません。
 もし不幸にして一時そのようなことがあるといたしましても、元来が想像説で事実ではありませんから、今度は千年とはいわず、必ず近い将来において、この説が有害無益であることも明白になって、「ある時代の学者の中には、地震、山脈、潮流などや、金石器や遺骨などを証拠と称して、種々に想像を膨らませ、我が祖宗神祇を皆海外より漂泊流浪し来たものであると断定して我が国家の基礎を破壊し、国運を脆弱(きじゃく)ならしめた」と冷笑されるであろうことは、鏡にかけて見るようであります。

 さて、中世の人が仏説に心酔した弊害の一例を挙げてお話いたしましたが、これは仏者に限った訳ではありません。中世以来の漢学者も、我国を呉(ご)の泰伯(たいはく)の末裔であるなどといった者もおりました。とにかく我国の人は古人も今人も、我国に古典正史の明文があり、そこに記されている往古の事実の伝記を信じず、ややもすれば外国の伝記を妄信し、海外人の説に加担し、彼(か)を本(もと)として我を末とし、他を内として自を外とする一種の変な癖があります。つまり今度のようなことも、またその癖が発露したに他ならないと思われます。

 しかしながら、我国の人に古来よりそのような癖があり、外国のことをしきりに受け込みまして、そのために我が国家に甚(はなは)だしい欠点を遺(のこ)しましたが、また一方より申せば、そのために中国で興った儒学も、インドにて行われた仏教も、皆我国に吸収して、この話の発端で申し上げたとおり、今日私がこの世界太古伝の実話をいたす材料になったと思えば、これもあるいは宇宙をご主宰在らせられる大元の神のご意志で在らせられたかもしれません。 #0095【世界太古伝実話(4)-神の意志-】>> #0096【世界太古伝実話(5)-日本に集う世界の宗教-】>>

 このように世界が全く熟しまして、古来より伝え来たれる材料も十分に集まっておりますし、また新来の材料までも遺憾なく集まって、今はこれを編集して大成すべき時となり、その下ごしらえとも申すべきこの世界太古伝の実話をはじめるだけでなく、眼前の事実の上においても、その兆候が著(いちじる)しく表れて来た今日に至って、その傍(かたわ)らにおいて、我国は末国であるとか、あるいは外国から流浪し来たものが開いたとか申していては、いかにもつじつまの合わない話ではありますまいかと思われる次第であります。
 
 
 
清風道人
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