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#00206 2012.12.12
清明伝(9) -火は活ける神-
 
 
 火はわたしたちの生活において欠かすことのできないほどの恩恵を与えてくれますが、逆に大きな災いを起こすこともあります。このことは、火神の誕生によって母神である伊邪那美神が黄泉国(よみのくに)に入ることになり、さらに火神も父神である伊邪那岐神によって斬首されるという凶事が遠因になっているものと考えられます。また、古くから日本では「刃物を竈の上に置くと必ず身を傷つける」とされてきましたが、これは火神が父神の剣で斬られたことに起因しています。 #0053【火神の剣尸解(2)】>> #0054【火神の変化無量の霊徳】>>

 このことについて本居宣長先生は、「伊邪那岐、伊邪那美二柱の天神(あまつかみ)の、国土また諸々の神等を生み生みて火産霊神(ほむすびのかみ)生み給えるまでは、物の成れる吉事のみにて凶事は無かりしを、彼(か)の火産霊神を生み給えるによりて、伊邪那美大神の神避(かむさ)れまししは世の中の凶事の始めなり。されば火産霊神は、吉事の終わり、凶事の始めの際(きわ)に成りませる故に、吉と凶を兼ね給える神にませり。火は世の中に物を熟し整え成す功多くして、また万(よろず)の物を焼き亡ぼす禍事(まがごと)も類無し。これ吉と凶の際に成りまして、吉と凶とを兼ね給えるこの神の御霊(みたま)によるものなり」と記されています。

「竃(かま)の火の穢れ忌々(ゆゆ)しも、家内(いえぬち)は火し穢るれば禍(まが)起こるもの」

 これは本居先生が詠まれた『玉鉾百首』の一首ですが、「忌々しも」は大切にして恐れ慎むべきこと、「禍起こるもの」とは災難凶事が起る理由のことです。それは、穢れは全て黄泉国に属するために、火の穢れがあれば火神の怒りによって禍事が起こるからです。
 このようなわけで、御母・伊邪那美大神も甚(はなは)だしくこの神に御心をおかれて「心悪子(こころあらぶるみこ)」と宣(のたま)われ、もし火神が荒ぶる時には鎮め奉るため、水神、土神、匏(ひさご)、川菜(かわな)を生み置かれ、その徳(はたらき)によって鎮め奉ることが伝えられており、これが鎮火祭の元となりました。 #0059【人類の祖先は本当に猿類か?】>>
(祭事に火を忌むことは日本だけでなく中国もインドも古昔は同じでした。いわゆる道家ではとくに大切にしますが、その道の元は神代の古神道より出たもので、足が冷えたのを火で直接暖めることも重く戒められています。 #0094【世界太古伝実話(3)-最も早く開けた国-】>> #0100【世界太古伝実話(9)-道教に見える日本の神々-】>> #0119【万国を開闢せし皇国の神々】>> )

 また、平田篤胤先生は火の扱いについて次のように記されています。(現代語訳:清風道人)

「火はまさに活(い)きたる神におわし、その御霊を分けて日々に用いる道理を弁(わきま)えず、いとも礼無く、忌々しき汚穢(おわい)をも行っていることに心付かない人が多いようである。それは、煙草を吸う人が灰皿に火を投じて唾(つば)で滅するなども火神に礼無きことであり、あるいは煙草の火、提灯(ちょうちん)の火などを足で踏み消す人が多いのは甚だしく非礼なことである。また、田舎の人などで竃(かまど)や炎の中に唾を吐き、吸殻を吹き入れ、あるいは鼻汁をかみ入れる者も多いようであるが、みな道理を知らない者が常に行うことである。古学を学ぶ人は、このようなことをする人を見たならば平穏にたしなめて止めさせるべきである。」

 火(ひ)と霊(ひ)は同質ですので、神前や霊前に供した火を手で扇いで消したり、穢れの混入した吐息で吹き消すなどは以ての外で、古学を学ぶ人は、清めた扇子などを用い、感謝の心を込めた清風によって静かに消火するべきしょう。(点火の際は、もちろん「火は活ける神」の心を以て前述の神火清明章を念祝致します。 #0205【清明伝(8) -神火清明章-】>> )
 また、欧米風の誕生日の祝い方として、バースデーケーキにキャンドルを灯すという風習がありますが、これは生誕祭が甚だしく訛伝したもので、地界に生まれ出てきた因縁の日に、その祝い火を自分の吐息で吹き消すなどということは、これからも燃やし続けていくべき自らの霊魂(生命)の象徴を、自ら葬り去る大凶事といえます。
 
 
 
清風道人
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