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#00840 2023.6.03
天地組織之原理(81) -尊信の目的-
 
 
 さてこゝに申し置くべきことあり。世に保食神の伝無かりせば、人間の生命を保つに第一たる衣食の起こる所の原因より禽獣魚類の大骨横位に成れる原理は素より、そのもの等が交合するに親子兄弟を別かたざる起因、又これ等のものが人間の為に万世に至るまで己の身体を犠牲に供すべき理由は、如何に人智を以て究理するとも世界中他にこれを知るべき道はあるべからざるを、吾太古伝説の真理を道理に訴へて講究すれば、かく人智の及ぶべからざる造化玄妙の神術をも窺ふことを得らるゝものなれば、尚深く講究すべき実典は吾神典に非ずして他に有ること無かるべし。

 余(よ)が神典の明文に随て神代第一期よりこれまで講述したる天地の組織より万物元種の起こりし道理に照らして、彼(か)の支那の陰陽五行の説、或は釈氏の須弥山(しゅみせん)の説、又西洋の天主六日鎔造の説と比較して何れが是、何れが非かと云ふことは、この講述の筆記を一読ありし人は物質順化の理(ことわり)に照らして必ずその可否を自得せらるべし。 #0473【扶桑皇典(3) -天地開闢・上-】>>
 総て大道とすべきものは天地造化の原道なれば、必ず天地の組織と相伴ふべきものにて、人の世となりし後に人造の作為に成れるものに非ざるは道理の動かすべからざるものなれば、よく天然の神造と後世の人造とを弁へ、天地の大道は神伝の内に有りて自ずから存するを弁ふべきなり。

 さてこゝに又尊信の目的を定むることに就て、聊(いささ)か参考の為今一言申し置くべきことあり。凡そ人の精神なるものは尊信の向ふ所に帰するものにして、世の人造宗教はこの尊信の目的を奪ひ、己の版図に帰せしめんとするものなるが故に、一度これを妄信して尊信の向ふ所を彼に奪はるゝや、終に彼が為には大恩を受くる所の君父を敵視するが如き大弊を生ず。
 こゝに至りて法律もこれを如何ともすべからざるものにて、身体は自国の人と雖も精神は全く異邦の人と変化す。全国挙げてかくならしめばその国を保たんと欲するも得べからざるものにて、宗教の為その国を奪はるゝは万国歴史上その事蹟少なからず。

 既に方今に至りてもその国に於ては何の宗教を信ずるものに非ざれば国王たるを得ざる等の論を発し、国民をして法律も支配すべからざる国王の信仰を支配するに至る自由宗教の国にして、国王の宗教を国民に支配せらるゝ如きは全く国王の精神を国民に支配せらるゝものにして、これを宗教より生ずる弊害なりと云はずして何とか云はん。

 然れども宗教なるものはその表は道義を講ずるを旨とするを以て、殊勝にしてよく人心を感ぜしむるが故に知らず知らずして尊信の目的も奪ひ去らるゝに至り、容易にその版図を脱する能(あた)はざること堅牢を脱するより難きものなれば、吾邦人は深くこゝに注意し、造化の原理を窺ひ、たとへ道義を講ずる上に於て殊勝取るべきことありとするも、これが為に尊信の目的を合せて彼に奪はれざらんことを肝に銘じ、吾国固有の神教に随ひ、幽にしては造化分担の真神たる天地神祇の神徳を窺ひ、顕にしては君父の大恩を想ひ、尊信の目的を他に奪はれ去らんことを忘るべからざるものなり。

 然れども何等の宗派を問はず道義を講ずる上に於ては、必ず人をして善を勧め悪を懲らしめんとするを旨としたるものなるを以て、外邦の国体に於ては道義上益する所あるべければこれを誹謗すべきものに非ず。
 故に尊信の目的を奪はれざる以上はインド哲学収むべし、西洋教学これを学びて、その可なるものは吾に移すこと可なりと雖も、これを移さんとするが為他の宗教に心淫し、尊信の目的を合せて彼に移し、造化分担の神祇あるをも顧みず、外邦人造の仮神を三拝九拝、終に霊魂の帰着をも彼に依頼するが如き卑屈の精神に変化するに至りては、天祖神定の吾君上・天皇陛下とその祭りの同じからざるのみならず、君臣の間に尊信の向ふ所を異にするものにて、たとへ顕体は国民たりとも精神の上に於ては外邦版図に帰化したる民にして、神国の神民たる資格を失ふものと云はざるべからず。 #0515【扶桑皇典(45) -国民の要務-】>>

 これを顕事に譬ふるに、外邦の美事良法、素より学ぶべし、又政事法律、素より学ぶべしと雖も、これを学ぶが為に尊信の目的たる君王を合せて共に吾に移せば、その学ぶ所は吾物に非ずして、その国は既に彼に奪はれたるものと云ふ理は婦女子と雖も知る所ならん。
 然れども顕事に於てはたとへ外邦の政事法律を学ぶと雖も、その法を学ぶが為に外邦の尊信する君王を合せて共に吾に移すが如きは未だ聞かざる所なり。

 然るをこれに反して宗教なるものはその法規戒律を学ぶが為に、必ず尊信の目的たる仮神をも合せてこれを移すに至る故に、神賦の精神を彼に束縛せられて終に死を以て彼に報はんとするに至る程のものなれば、活眼を以てこれを看破し、天地の正道を誤ること無かるべし。
 吾道とする所は独り日本のみの道に非ず、天地の造化と共に起こりて天地の間に自ずから備はりたるものにて、他の宗教と相関するものに非ざるが故に、これを外邦人造の宗教に比すれば淡然(たんぜん)として無味なるが如きものなれども、無量の深味を含蓄し、天地固有の道義その内に有りて存するものなれば、その心して以下講ずる所の神伝を講究あるべし。
 
 
 
清風道人
カテゴリ:天地組織之原理
 

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