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#00765 2022.3.10
天地組織之原理(6) -造化三神の御神徳-
 
 
 さて前に講じたる天之御中主神の次に高皇産霊神、神皇産霊神とあり、『古事記』には高御産巣日神、神産巣日神と文字を仮用(かよう)せられたり。文字は素より深き関係あるものには非ざれども、この神名の如きは平田先哲『日本書紀』の一書(あるふみ)を採り「皇産霊」と改められたるは然ることにて、文字も意に近きに随て可とす。総て今日は皇産霊の字を用ゆるを常とすれば改むべし。

 而してこの皇産霊の両神は天之御中主神と並び給ふ神にして、天之御中主神の天地万物を造り給はんとする御神量の初めて動き給ふに因りてその大元霊より成り給ふ神なるが故に、申さば天之御中主神の大分霊とも申すべき程にて、天地万物鋳造化育の神業は全くこの両神の補翼にかゝるものなり。
 神典明文の上にはその事伝はらざる如くなれども、この両神の神名に自ずからその意を伝へたるものなれば御名の本語より講究すべし。

 まず「高皇産霊」とあるは本語タカミムスビと訓ず。この語の「高」はタカにて、そのタカと云ふ語はタキ、タカ、タケと活(はたら)く詞にして、丈、竹、高などの意にて高く立ち延びる意ありて、竹の高く延び立つも同じく、総て物を張り出す膨張力の徳を云へるにて男徳を備へ給ふなり。
 又「神皇産霊」とあるは本語カムミムスビと訓ず。神皇産霊神の上の「神」の字は仮名にてカミ、カムと活きカムと云ふを本語とす。このカムと云ふは高の張り出る徳に反してカミシメル徳にて、縮引力の徳を云ふなれば自ずから女徳を備へ給ふなり。
 この両神の皇産霊と云ふ御名は何れも同じことにて、「皇」は尊称にて「御」と書けるも同じことなり。この「皇」の字はスメ又はスメラギなどに用ゆるとは異にして只仮名に用ひたるまでなり。「産霊」はウムスビなりとの本居・平田両先哲の説の如く、天地万物をウムシ成し給ふは奇霊(くしび)の活きにて霊妙不測の御徳を指して云ふなり。

 総て吾古伝にヒトなど云ふは皆奇霊なるを云ふことにて、これより移りて日(ひ)と云ふも火(ひ)と云ふも皆奇霊なるものに名付くるなり。これ則ち産霊の本語の意にして、又結ぶなど云ふことにも自ずから通ふなり。
 如何となれば、万物は産霊の徳にてウムシ成し給ふより移りて、又諸原素を集めて結び成し給ふとも聞こゆればなり。本居先哲は人の子を生むも皆産霊の徳なるが故に生れたる子をムスコ、ムスメなど云ふと云はれたり。実に造化の御徳に対してよく聞こえたる解と云ふべし。
 この御名の本語によりて講究すれば、神典の明文には伝無くとも神名の上に造化大元の実事は自ずから伝はりたること明らかなるべし。然れば天地万物造化の大元は天之御中主神にして、その組織を専ら補翼成し給ふは皇産霊の両神なること疑ひを容るゝ所無し。 #0030【天地万物造化のはじまり】>> #0211【神道宇宙観略説(2) -天体の成立-】>>

 その組織に就ては膨張力の活きと縮引力の活きとムスビ、ムスブ、ウムシ、ウムスの霊徳より成し給ふと云ふ真理、只この両神の神名の上に伝はりたるは妙なることに非ずや。道は近きにあり、外邦の学のみに心酔する人、自ずから顧みる所あれ。吾神典明文の上を一通り迂闊(うかつ)に見る時は、かくまで深き真理の伝はりたるものとは誰も心付かざるべし。
 さて前に講じたる次に「この三柱の神はみな独神(ひとりがみ)成りまして隠身(かくりみ)なり」とあるはよく聞こえたる通りにて、こゝに御名を伝へたる造化の三神は並び成り坐せる神に非ず。次々順序に成り給ひしが故に「独神成りまして」と云へるなり。

 支那の説に大極両儀を生ずと云へるは彼国の古伝と云ふにも非ず人智推測の理説と聞こえども、よく吾古伝の造化三神の御上のことに符合す。然れども彼の所謂(いわゆる)両儀なるものは陰陽の二気を指すものにて、神と云はず霊と云はざるは霊と気との別あることを知らざる論にして、これが為に支那の理説にては気結んで霊と成るが如く論ずるに至る。
 気は凝結して生々の活動あるのみ。人心の如き思考覚察の活用を為すものは気の作用に非ず霊の作用なり。この理(ことわり)を以て余が所謂霊・気・質の三者天地万物の三大元たることを知るべし。 #0212【神道宇宙観略説(3) -神代から人代へ-】>> #0213【神道宇宙観略説(4) -人は万物の霊長-】>> #0645【霊魂の研究(4) -魂と心と気の関係-】>>
 
 
 
清風道人
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 さて、天之御中主神 
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