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#00775 2022.5.9 |
天地組織之原理(16) -造化の秘蘊-
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或る人問ふ、御説によりて地球自転の原因と大地軸ありて地球の骨格定まりたる原因は大に了解し、その神業の大なるに驚けり。 #0774【天地組織之原理(15) -地球自転の始まり-】>> 実に伊邪那岐・伊邪那美大神は地球の大造化御分担の神に坐せば、この御両神に於てはその御神体の大小は今窺ひ奉り難しと雖(いえど)も、全能全智と申し奉る造化大元霊の御手に代らせらるゝ神業なれば、その御神体の大小に拘らずこの地球の如きは人間の毬(まり)を弄する程の御事と申し奉るも敢て過称とも申し難かるべしと雖も、この沼矛なるもの初めより地球の北極より南極に貫く程の大なるものにも非ざるべく、然るにこの沼矛を地球に指し下し給ふによりによりて大地球全体に感動し自転の活動を起こすのみならず、その矛の先より垂落(したた)る一滴の鹽(しお)より淤能碁呂島と成る等、今少しその理(ことわり)の解せざる所あれば御説明を仰ぐ。
答ふ、この質疑に就てはまず天沼矛なるものは何物なりと云ふことを弁じ置くに非ざれば解するに難かるべきが故に、こゝにその沼矛と云ふ物の性質より講究すべし。 この沼矛は先哲の説の如く玉鉾とも申すべく又鉄気の純なるものとも申すべき理にして、地球の北極に磁石の向ふ如きも皆この坤軸たる沼矛の鉄気の吸引力によるものなれば動くまじき説なれども、深く道理を推して考ふるに、吸引力なるものは縮引力と粗(ほぼ)相似たる引力にて内外の別あるのみと聞こゆるに、この沼矛を先哲も男性の形ならんと云はれたるを思ふに全く男徳を備へたる矛と考へられたるならん。
然るに吸引力を旨として説かれたるは理に於て如何あらんと考へらるゝなり。故に余(よ)はこの沼矛は男徳にして膨張力の徳を専らとし、加ふるに吸引力を兼ねたる性質のものと考ふるなり。 如何となれば、平田先哲もこの沼矛は造化奇成の奇物にして、皇産霊神の霊妙不可思議の神徳より天之御柱とも申すべき彼(か)の葦牙(あしかび)に寄せて作り出で給ひ、皇産霊神の魂を添へて授け給ひしなりとの意に説かれたり。
この説、実に動くまじき説なればこの説に随て考ふるに、この沼矛は皇産霊両神の造化の魂を付け給ふは膨張と吸引との両力を備へ給ふ所以にして、これを天之御柱に準(なぞら)へて奇成し給ふものなれば、必ず葦牙彦遅神の霊徳の加はりたる理なれば膨張力の男徳を主とし、加ふるに吸引力の添ひしものと云はざるべからず。 それのみならず、総て独化隠身の神は一柱にして男徳女徳を兼ね給ふ理なるは、男徳女徳の両皇産霊神の魂を一神の上に負ひ給ふにて、この後と雖も一神にして男徳女徳を兼ね給ふ神は神典中数ふるに遑(いとま)あらず。これその元は独化隠身の神に起こるものなり。
故に葦牙彦遅神はその御名の通り男徳の神に坐すと雖も、又女徳をも兼ね給ふべき理あり。この両徳は皇産霊両神の御徳に起こりて、造化分担の神は独化の神と雖も両徳を備へ給はざるを得ざるは然るべき理にて、即ち葦牙彦遅神は天之御柱たる葦牙に添ひ給ふ御魂なれども男徳の膨張のみならざるは、終にこの葦牙なるもの太陽中の御柱と成り、その相兼ねたる吸引の霊徳に因りて太陽系中の諸星を吸引し、万々世(ばんばんせ)相離れしめざる徳の備はりたることは神伝の道理を推し実天地の現象に考証して動くまじき理なり。 #0765【天地組織之原理(6) -造化三神の御神徳-】>> #0767【天地組織之原理(8) -宇麻志阿斯訶備比古遅神-】>>
然ればこの沼矛は男徳を主とし、吸引の徳を兼ねたるものと云はざるべからず。この両徳備はりたるものなるが故に、これを地球に指し下し給ひしに依り、この沼矛の男徳と始めよりこの地球の内部に就き給ひし豊雲野神の女徳と相感動して地球に大活動力を起こしたること道理を推して窺ひ知らるべし。 この道理あるを以てこの矛を引き上げ給ふ時に至りては、その矛の先より垂落る潮と又沼矛の備へたる吸引力と豊雲野神の縮引の霊徳と同気相感じ、吸引縮引両力の為に潮泥凝固して淤能碁呂島(おのごろしま)とは成れるにて、地球の骨格はこの沼矛より起こりしなり。 #0769【天地組織之原理(10) -国之常立神及び豊雲野神-】>>
この論あまり高尚の極論に付き、再び卑近の譬へにてこれを示さん。まず天地組織の大なる思ひを暫く去りて、自己の一身を以て仮に地球なりと思ひ定めよ。この己一身の身体に今小さき一つの針を指し下し、この針に薬汁一滴の霊気を加へ、僅かに皮肉の間までこれを刺す時は、その薬汁一滴の霊気に感じて腹中内部の疼痛(とうつう)忽ち治するに非ずや。これその針の大なる為に非ず、その針に薬汁の霊気加はるが故なり。この理は恐らくは凡そ人間の思想を抱くものは疑はざる所なるべし。
然るに天地組織大元の時に当り、伊邪那岐・伊邪那美の両神御立会の上、地球たる一身上に天沼矛と云ふ大針を下し給ひ、その沼矛に造化霊妙不可思議の霊徳たる薬汁を加へ給ふに、何ぞ地球内部全体に感動を起こさざることかあらん。 尚造化秘蘊(ひうん)の霊妙を今日に貫く実物に照らして云はゞ、人間の身体初めて成らんとする時は母の胎中にありて未だ骨格も定まらざる一つの流動物たる卵なりしを、父の精気この卵中に達して初めて人体の組織を成すに至りたるものにて、今吾人(ごじん)の骨格を成したる大原を推して考ふる時は、男精中に含蓄したる極微の精虫より起こりたるものなり。
この精虫なるものは五百倍以上の顕微鏡を以て見るに非ざれば見るべからざる程の小さきものなれども、この物漸々(ようよう)膨張して終に人体中の巌岩と云ふべき凝固物たる大骨枝骨と成れるものなりと云ふは人の疑はざる所なるべし。 大小異なりと雖も造化の真理は一つなるものにて、地球組織の始め造化の神より伊邪那岐・伊邪那美命に授け給へる沼矛なるものは全く地球に骨格を定め給ふべき精虫を降し給ふ神算にして、地球の組織は全くこの沼矛と云ふ精虫より起こりたるものなることは、人体組織の初め男精中に含蓄したる極微の精虫より起こりたるを以ても明らかなり。この精虫なるものは全く人体組織の為には一身上の沼矛と云ふべき理なり。 実に吾太古の伝説造化の秘蘊伝へたること、かくの如き奇(く)しき妙なるものに非ずや。静思して深くその真理を講究あるべし。世に識者を以て自ら任ずる人にしてこれ等の道理あるをも知らず、吾神典を以て奇怪解すべからざるの書とするは、造化の玄妙に対して自ら恥ずる所非ずや。
さてこの沼矛の真理に至りてはかくの如き幽理あるを以て、たとへ元は小なりと雖も彼の膨張の力と吸引の力相兼ね、終には地球の南北に貫く如きものと成りて万世吾地球の大地軸たるは、人体組織の精虫が一身を貫く大骨と成れるも同じ理なり。実に奇なると云はんか妙なりと云はんか。 この道理を以て推す時は、始め太陽に成りし葦牙の如きものその初めは小なりと雖も終に太陽の大軸天之御柱とも成れるものなりと云ふ疑ひも併せて散ずる所あらん。太陽中心にこの御柱あるが為に太陽系中の諸星を吸引し、地球この大坤軸あるが為に大地上の万物を吸引すること、火を見るよりも明らかなる理なるべし。 然るに時流の学生偶々(たまたま)神典を一読しこの深理を知らず、明文に天沼矛とあるを見ては只その物質にのみ眼を止むるを以て、その何物たるの徳を発見すること能(あた)はざるなり。余が所謂(いわゆる)天地万物は霊・気・質の三者より起こるの真理に基き静思して考ふる時は自得する所なるべし。 #0762【天地組織之原理(3) -天地初発之時-】>> |
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#00774 2022.5.3
天地組織之原理(15) -地球自転の始まり-
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「故(かれ)、二柱の神、天浮橋(あめのうきはし)に立たして、その沼矛を指し下して画きたまへば、鹽(しお)こをろこをろに画き鳴して引き上げたまふ時に、その矛の末(さき)より垂落(したた)る鹽累積(つも)りて島と成る。これ淤能碁呂島(おのごろしま)なり。」
伊邪那岐・伊邪那美命は天神の勅(みことの)りに随ひ、この地球に降り給ひてまず「天浮橋に
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#00769 2022.4.3
天地組織之原理(10) -国之常立神及び豊雲野神-
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「次に成りませる神の名(みな)は国之常立神(くにのとこたちのかみ)、次に豊雲野神(とよくもぬのかみ)。この二柱の神も独神(ひとりかみ)成りまして隠身(かくりみ)なり。」
さて前に講じたる道理にて、既に天地分判しその清明なるものに造化分担の神坐すに於ては、分体したる重濁なるものにも必ず又造化分担の神坐さゞるを得ざる理(ことわり)なるを以て、
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#00767 2022.3.22
天地組織之原理(8) -宇麻志阿斯訶備比古遅神-
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「次に国稚(いし)く浮脂(うきあぶら)の如くしてくらげなすたゞよへる時に、葦牙(あしかび)の如く萌騰(もえあが)る物に因りて成りませる神の名(みな)は宇麻志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)、次に天之常立神(あめのとこたちのかみ)、この二柱の神も独神(ひとりかみ)成り坐して隠身(かくりみ)なり。上の件(くだり)五柱の神は別天神(こと
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#00765 2022.3.10
天地組織之原理(6) -造化三神の御神徳-
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さて前に講じたる天之御中主神の次に高皇産霊神、神皇産霊神とあり、『古事記』には高御産巣日神、神産巣日神と文字を仮用(かよう)せられたり。文字は素より深き関係あるものには非ざれども、この神名の如きは平田先哲『日本書紀』の一書(あるふみ)を採り「皇産霊」と改められたるは然ることにて、文字も意に近きに随て可とす。総て今日は皇産霊の字を用ゆるを常とす
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#00762 2022.2.20
天地組織之原理(3) -天地初発之時-
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謹みて考ふるに、『古事記』に「天地初発之時」と語り伝へたる「天地」と云ふ文字は仮に当てたるものにて、本語はアメツチと訓ずるなり。総て吾古伝は文字に拘らず言詞にて解くべきは先哲も云ひ置かれたる通りなれども、中には文字のよく本語に合するものも少なからず。故に文字にも心を付くべきなり。
まずこのアメツチの本語に天地の字を用ひたるなどもよく当り
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