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#0003 2009.12.25
「たましひ」の響き
 
 
 日本では、中国から漢字が伝わる以前、「やまとことば」といわれる、いわゆる「ひらがな」が使われていましたが、この「ひらがな」は一音でも発音が可能な音節文字で、その一文字の波動にもさまざまな意味が込められているため、「言霊(ことだま)」ともいわれています。ここではその言霊学によって、霊魂について講究してみたいと思います。

 古代の日本では、霊魂(やまとことばではタマシヒ)はとても尊いものとされ、ミタマとも呼ばれてきました。まず、そのミタマのミは「御」の意味であり、賛美を表す尊称です。またタマのタの音は、足(タル)、健(タケ)、宝(タカラ)などというタと同じで、円満で足り満ちたという意味を含んでいます。またマは、正(マサ)、誠(マコト)、全(マッタク)などというマと同じで、あえて漢字を当てるなら「真」という字になります。そこで二音を合わせるとタマとなり、円満にして少しも誤りない充実した存在という意味になり、もっとも尊いものということで、上に尊称のミをつけてミタマ(御霊)と呼ぶことになりました。

 霊(タマ)と同じ発音で、球状の物体を日本語で玉(タマ)といいますが、地球を始め太陽や月、その他の星も丸い形状をしています。小さなところでは、物質を構成している原子核や電子、中性子も球状であり、また命を産み出す卵も、それが成長した姿もすべて球状から派生しています。あるいは、穏やかで優しい人を「人柄が丸い」といい、調和がとれていて完全に満ち足りているようすを「円満」というように、日本人は、調和や平和という「和の精神」をとても大切にしてきたことがわかります。

 またシヒのシの音は、日本語でアラシ、ツムジといい、日本神話で風の神を「シナツヒコノカミ」「シナツヒメノカミ」と称するように、風のことを表しています。またシヒのヒはいうまでもなく火のことですので、要するにシヒは「風火(シヒ)」であり、タマシヒは「霊風火」ということになります。つまり霊魂(たましひ)は、五元(風・火・土・金・水)のうちの風の性と火の性をそなえていることがわかります。 #0002【森羅万象を説く「五元」の説】>> 

 古代日本人は、大自然に対して人間の領域をはるかに超越した「何ものか」を感じ取ってきましたが、「神々(こうごう)しい」という言葉があるように、その「何ものか」を神として認識していました。伊勢神宮に参拝した西行法師は、「何ごとのおわしますかは知らねども、かたじけなさに涙こぼるる」という歌でその心境を語っています。
 大自然の雄大な景観や聖地の清々しい空気に接した時、わたしたちは言葉にならない感動を覚えずにはいられません。それは「魂の響き」ともいえるもので、その「何ものか」と響き合う、わたしたちの心の奥底にある「何ものか」を感じます。日本古学では、大自然はすべて八百万(やおよろず)の神々によって造られたものであるため、当然そこには神々の霊魂が宿っており、それに共鳴するわたしたちの霊魂も神々の霊魂と同質であるとされています。つまり、神々の御霊の一微分子を賜わって生きているのがわたしたち人間ということになります。

 「神」も漢字が渡来してから後に当てられた字ですが、これは何ものかが人間に「示し申す」という意味です。「上」という字もカミと読みますが、この場合は「御上(おかみ)」、「上座(かみざ)」などというように、自分より位が高いことを表しています(家庭で一番偉いのも「かみさん」です)。さらに「上」という字は、中央へ向かうことを「上る」、地方へ向かうことを「下る」、また川の源流を「上流」、川下を「下流」などという場合にも使いますが、この場合には単なる上下関係ではなく、本(もと)と末(すえ)という意味が含まれています。ここにも日本人のカミに対する感性を見ることができます。
 
 
 
清風道人
カテゴリ:玄学の基本
 

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#0002 2009.12.25
森羅万象を説く「五元」の説
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