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#00890 2024.3.29
天地組織之原理(131) -出雲国造神賀詞-
 
 
「これを以てこの二柱の神、出雲国の伊那佐(いなさ)の小浜に降り到(つ)きて、十掬剣(とつかのつるぎ)を抜きて浪(なみ)の穂に逆さまに刺し立てゝ、その剣の前(さき)に趺(あぐ)み坐して大国主神に問ひたまはく、天照大御神、高木神の命(みこと)以て問ひに使はせり。汝(いまし)がうしはける葦原中国(あしはらのなかつくに)は我(あ)が子(みこ)の知らさむ国と言依(ことよ)さし賜へり。故(かれ)、汝の心奈何(いか)にぞとのりたまひき。」

 この『古事記』本伝明文はよく聞こえたることなれば別に解を加ふるに及ばず。この伝の剣の先に趺坐し給ふなど奇伝の如くなれども、建御雷神は本(もと)御剣の魂・尾羽張神の御子なれば、剣の先に居り給ふなど何の奇なることかあらん。事ある時は御自らの御全体をも剣と変化成し給へる程の御徳にて、この次には御手を直(じか)に剣と成し給へる程の神なり。又この伝に「趺み坐して」とあるは足組と云ふ略語なり。「汝がうしはける」とあるウシハクと云ふは主として領し居ることを云ふ古語なり。その他は本文にてよく聞こえたることなり。
 この伝の講究に就ては『出雲国造神賀詞(いずものくにのみやつこのかむほぎのことば)』に参考すべきこと多く、特にこの神賀詞は神代相承の国造家に伝はりたる古伝なるが故に記紀両伝の欠を補ふ程の明文なれば、こゝにその要文を記して参考に供し置くべし。

「八十日日(やそかび)は在れども今日の生日(いくひ)の足る日に、出雲国の国造(くにのみやつこ)何某、恐(かしこ)み恐みも申し賜はく、掛まくも恐き明御神(あきつみかみ)と大八嶋国知ろし食(め)す、天皇命(すめらみこと)の手長(たなが)の大御世と齋(いわ)ふと、出雲国の青垣山の内に下津石根(したついわね)に宮柱太敷き立て、高天原に千木高知り坐す、伊射那伎(いざなぎ)の日眞名子(ひまなご)、加夫呂伎(かぶろぎ)熊野の大神、櫛御氣野命(くしみけののみこと)、国作り坐しゝ大穴持命、二柱の神を始めて百八十六社(ももやそまりむやしろ)に坐す皇神等(すめがみたち)を、某甲(それがし)が弱肩に太襷(ふとだすき)取り挂けて、伊都幣(いつぬさ)の緒結び、天乃美賀祕(あまのみかひ)冠(かがふ)りて、伊豆(いつ)の真屋(まや)に麁草(あらくさ)を 伊豆の席(むしろ)と苅り敷きて、伊都閉黒(いつへくろ)益し、天能瓺和(あめのみかわ)に齋(い)み許母(こも)りて、志都宮(しづみや)に忌み静め仕へ奉りて、朝日の豊栄登(とよさかのぼり)に、伊波比(いはひ)の返事(かえりごと)の神賀吉詞(かむほぎのよごと)、奏(まお)し賜はくと奏す。
 高天(たかま)の神王(まむろ)、高御魂(たかみむすび)神魂命(かみむすびのみこと)の、皇御孫命(すめみまのみこと)に天下(あめがした)大八嶋国を事避奉(ことよさしまつ)りし時に、出雲臣等(いずものおみら)が遠祖(とおつおや)天穂比命を国体(くにかた)見遣はしゝ時に、天の八重雲を押し別けて天翔(あまかけ)り国翔りて、天下を見廻りて、返事申し給はく、 豐葦原乃水穂国は昼は如五月蠅(さばえなす)水沸き、夜は如火瓫(ほべなす)光(かがやく)神在り、石根(いわね)木立(きねたち)青水沫(あおみな)も事問ひて、荒ぶる国在り、然れども鎮め平(むけ)て、皇御孫命に安国と平けく所知(しろし)坐さしめむと申して、己命(おのれみこと)の児(みこ)天夷鳥命(あめひなとりのみこと)に布都怒志命(ふつぬしのみこと)を副へて天降し遣はして、 荒ぶる神等(かもども)を撥(はら)ひ平(む)け、国作らしゝ大神をも媚び鎮めて、大八嶋国の現事(うつしごと)顕事(あらわごと)事避らしめき。(以下略す)」

 こゝに挙げたる神賀詞の明文に就ても略解を加へ置くべきなれども、本巻は特に他に解釈・意見等を加ふべきこと多きが故に、紙数限りある略解の盡すべき限りに非ざれば、只参考の為明文のみを挙げ置くなり。
 尤も余(よ)がこの講述を神代第一期よりこれまで順を追ふて聞かれたる人に於ては、この神賀詞の如きは別に解を加へずともよく解し得らるゝ事と信ずるが故に特にこれが解釈を省く。
 
 
 
清風道人
カテゴリ:天地組織之原理
 

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