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#00850 2023.8.2
天地組織之原理(91) -後世物質世界万業の基-
 
 
「天手力男神(あめのたぢからおのかみ)、戸の掖(わき)に隠り立ちて、天宇受売命(あめのうずめのみこと)、天香山(あめのかぐやま)の天の日影(ひかげ)を手次(たすき)に繋(か)けて、天の真拆(まさき)を鬘(かづら)として、天香山の小竹葉(ささば)を手草(たぐさ)に結(ゆ)ひて、天石屋戸にうけ伏せて、踏みとゞろこして、神懸(かむがか)りして、胸乳(むなち)を掛き出で、裳緒(もひも)をほとにおし垂(た)れき。爾(かれ)、高天原動(ゆすり)て八百万の神共に咲(わら)ひき。」

 こゝに挙げたる明文の「天手力男神、戸の掖に隠り立ちて」とあるは聞こえたる通りにて、石屋戸の掖に隠れ立ち給ひて大御神の出御の時石屋戸を開き給はんとの備へなり。故にこの神を天石門別神(あめのいわとわけのかみ)と申すなり。次に「天宇受売命、天香山の天の日影を手次に繋けて云々」の「日影」とあるは日影葛(ひかげかずら)のことにて、「手次に繋けて」と云ふは解するまでも無く聞こえたるが如し。

 次に「神憑かりして」はものゝ憑依して正心を失へる状(さま)のことを云へるにて、綺戯(たわれ)たる如き形にて俳優の如きことを為すを云ふなり。次に「胸乳を掛き出で、裳緒をほとにおし垂れ」とあるは、天宇受売命のその時に神憑りして舞ひ給ふに、女の常には人に見するを厭(いと)ふ乳をも出し、衣の下に着たる裳の緒をも垂れ流して戯れ舞ひ給ふを云へるなり。
 次に「高天原動て八百万の神共に咲ひき」とあるは、天宇受売命の我を忘れて舞ひ給ふ形を見て八百万の諸神共に咲ひ給ふは、高天原をも動(ゆす)りたる程のことなりとの伝にて、全く天照大御神に聞こえ上げ参らせ、大御神に怪しみ奉らせんとの謀りなり。

 さてこゝに挙げたる明文の意は粗(ほぼ)かくの如きことなるを、『古事記』は総て石屋戸の段は簡略なる伝なれば、こゝに『日本書紀』その他の古伝書を挙げてその欠漏(けつろう)を補ひ講ずべきなれども、この巻は特に筆記の紙数も多きを以て、悉(ことごと)く挙げて弁ずるに遑(いとま)非ざれば、両先哲その他の説に随ひ委しきことは講究あるべし。
 余(よ)が講述の目的は言詞・古事等の細目を論ずるものに非ず、単に神典の大綱に就て真理のある所を発見せんとするを旨とすれば、細目のことに至りては専ら先哲の解に随ふものなり。

 この時には前の明文に挙げたる外(ほか)に、常夜長鳴鳥(とこよのながなきどり)を鳴かしめ給ふことより琴・笛の類の楽器等初めて起こりて、今世に伝はる神楽は皆この時の遺伝なり。始めには神等(かみたち)万業の基を起こし給ひ、こゝに至りては優美なる音楽の遊びの起源をも起こし給ふは深き神量(かむはかり)にして、皆自ずから後世物質世界たる青人草の上にこの御神業を伝へ給ふ事となりしは不可思議の幽契に非ずや。
 前世界たる天地開闢第三期の太古たるこの時に、かくの如き万業の起源を神等の神量り置き給ひてこれを伝へ給はざれば、万業の基何れの時にか起こらん。これぞ須佐之男命の荒魂(あらみたま)によりて天照大御神の石屋戸に隠れ給ひし大凶を変じて吉と成し給ふ御神業にて、凶必ず凶ならざるを窺ふに足るものなり。 #0829【天地組織之原理(70) -災い転じて福となす-】>>
 
 
 
清風道人
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