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#00770 2022.4.9
天地組織之原理(11) -太陽系中の古伝-
 
 
 さて前の講述にて粗(ほぼ)天地分判の道理は了解あるべしと雖(いえど)も、『日本書紀』の開巻第一の伝とは大に明文の異なるものなれば、尚前説を確かめんが為に『日本書紀』巻首の文を大略の講じ置くべし。

「古(いにしえ)、天地(あめつち)未だ割(わか)れず陰陽分れざる時、渾沌(こんとん)として鶏子(けいし)の如し。溟涬(ほのか)にして牙(きざし)を含めり。それ清陽なるものは薄靡(たなび)きて天と為り、重濁なるものは淹滯(とどこお)りて地と為る。精妙の合へるは搏(むらが)り易く、重濁の凝れるは竭(かたま)り難し。故に先に天成り後に地定まる。然して後、神聖(かみ)その中に生(あ)れます。」
(「古天地未剖、陰陽不分、渾沌如鷄子、溟涬而含牙。及其清陽者薄靡而爲天、重濁者淹滯而爲地。精妙之合搏易、重濁之凝竭難。故天先成而地後定。然後神聖生其中焉。」)

 この『日本書紀』の伝は専ら漢文の体に倣ひ選集ありしものにて、こゝに挙げたる文の如きは漢土の古書中にある『三五暦記』の文と『天文訓』の文と合せて吾古伝に照らし、本伝の巻首に置かれたる文にして、「古天地未だ割れず陰陽分れざる時、渾沌として鶏子の如し」と云ふまでは『三五暦記』の文にて、吾真正なる古伝説に合すれば『古事記』の「国稚(いし)く浮脂(うきあぶら)の如くしてくらげなすたゞよへる時」とある古伝と同じ意にして、未だ天地の分判せざる以前のことなり。この文は漢文なれどもよく吾古伝に符合す。 #0767【天地組織之原理(8) -宇麻志阿斯訶備比古遅神-】>>

 次に「溟涬にして牙を含めり」とあるは吾古伝の「葦牙(あしかび)の如く云々」の伝を漢文に成して加へられたるにて、意は前に講じたるものと同じなり。次に「それ清陽なるものは薄靡きて天と為り、重濁なるものは淹滯りて地と為る」以下は『天文訓』の文にして、共に漢土の古伝文なり。
 これ則ち大虚中にかゝれる一物初めて天地と分るゝ伝へにして、「清陽なるものは薄靡きて天と為り」と云ふは、彼(か)の「溟涬にして牙を含めり」とあるものゝ膨張する勢ひによりて、清濁混じたる一物を分ちてその清なるものと濁なるものとを二つに分判し、清なるものは漸々(ようよう)とタナビきて大なる円形を成し終に太陽日球と成り、その濁なるものは漸々とトヾコオりて地と為ると云へるなり。

 次に「精妙の合へるは搏り易く、重濁の凝れるは竭り難し」と云ふは、その陽と成れるものは諸分子の極精なるものなるが故に玲瓏(れいろう)透徹にして搏り易く、重濁の凝りたるものは地球と成るべきものなるが故に竭り難しと云へるなり。
 「故に先に天成り後に地定まる云々」と云へるもよく道理に適ひたる文にて、精妙なるものは極精にして第一種のものなるが故に先に成り調(ととの)ふべき理(ことわり)にて、重濁なるものは第二種のものなるが故に後に成り定まるは道理上然るべきことにて、この地球と成るべき物体の重濁物はこの時は如何なるものならんと考ふるに、両先哲も云はれたる通り湖水に泥土を混じたる泥水の如きものなるべければ、この物が泥は凝り固まりて大地と成り、湖水は漸々に澄みて海と成りしものと聞こえたり。

 然るに『日本書紀』も『古事記』も天地分判の真理を伝へたるは同じ意なれども、『日本書紀』は専ら漢土の風に倣ひ漢文体に伝ふるが為に、漢土の古書中、吾古伝にその意の合するものあればこれを用ひて文を成したるが為に、この『日本書紀』開巻第一の伝なども天地開闢のことを文章の上に顕したるまでにて、何者がこれを造りたりと云ふことは知るに由(よし)なし。
 『古事記』は多く文章は加へられざれども太古の神言より伝はりたる儘なるが故に、天地分判の道理を神名の上に自ずから含みて伝はられたるを以て、造化の神徳によりて成りしことも明らかにして、大天地組織の原則は分霊分担の神量にあることも簡短の本文中に含めありて、その道理の明らかに窺はるゝは人為の企て及ぶ限りに非ざる妙伝なることを知るに足るべし。 #0768【天地組織之原理(9) -分霊分担の原則-】>>

 或る人問ふ、前の御講述にて天地開闢の真理は粗(ほぼ)了解せり。御説の通り吾太古の伝説なるものは造化三神の御徳を説くに及びては大宇宙間恒星天までかゝれるは勿論なれども、天地分判の時に在りては単に吾太陽系中の古伝と窺はるゝが故に他の恒星天のことは暫く措くも、同じ区域内なる他の遊星に至りては地球と同じく太陽の分体なるべきは道理に於て動くべからざる理なれば、この地球に造化分担の国之常立神・豊雲野神就き給ひ、内外両部を持ち分け給へるを以て考ふる時は、分判の前後の別はありと雖も他の太陽系中の遊星も皆分判の時には必ず造化分担の神坐すさヾるを得ざるの理なり、如何。

 答ふ、御質疑は最も高尚にして道理上に於ては必ず然らざるを得ざる理なれども、前にも申し述べたる通り太陽系の遊星は同系の区域内にありて地球もその内の一遊星なりと雖も、吾地球と他の遊星とは間接の関係はあるも直接に引力あるものに非ず。
 諸遊星とも皆太陽に向て直接引力あるものなれば、太陽よりは悉(ことごと)くその組織如何を知り給ふべきは勿論なれども、この地球には他の遊星のことは伝へ無ければ古伝に於て考ふべき便り無し、只道理上の講究あるのみ。

 然れども御質疑に随ひ参考までにこれを論ずれば、開闢の初めこの地球の内部に就き給ふ豊雲野神は隠身の御魂に坐して神名の上に粗御神徳の窺はるゝことなるに、吾古伝の例(ためし)として神名の多少は神業と神徳によりて名付け奉る例なるに、この天地分判の太古にして豊雲野神に限り又の名を大同小異十余名も伝へたるを思へば、この神はこの分判の時より多くの御分霊坐しまして、他の遊星の造化をも分担なし給ふには非ざるかと想像し奉らるゝが故に、この道理を推して聊(いささ)か講究したることもあれども、あまり極端の論となる為にまずこのことは一家の想像までに止めしなり。 #0769【天地組織之原理(10) -国之常立神及び豊雲野神-】>>

 然らざればこの神の御功業の明文に伝はらざるに、合せて又の御名の多きを如何とも弁じ難し。兎に角にこの神の又の御名の多きは後々の神の明文の御功業より種々の御名を負せ奉りて伝へたる例に異なれば、深き理もあるならんと考ふる所あれば、御質問に随ひ他日の御参考に供し置くまでなり。
 吾古伝は太陽・地球・月球の三大球に渉るを旨とする神伝にして、最もこの地球の組織を明らかに伝へたる書にて、他の遊星に至りては伝へ無ければ只地球上のことを以て古伝の道理上より想像を及ぼすまでに止まることなれども、造化大元の神則たる分霊分担の理を以てする時は、他の遊星にも必ず造化分担の神坐すは疑ひ無きことなり。
 
 
 
清風道人
カテゴリ:天地組織之原理
 

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