HOME > 「はらひきよめ」という日本文化
 
 
#0018 2010.3.3
「はらひきよめ」という日本文化
 
 
 肉体から発する情の力は非常に強く、魂が魄を制するのはとても難しいことですが、古代日本人は自然にその智恵を身につけていました。 #0015【人間の本性は善か悪か?(1)】>> #0016【人間の本性は善か悪か?(2)】>> #0017【心の中の葛藤とは?】>> それは、諸外国から儒教や仏教、その他の教学や文化が流入する以前から日本に存在していた神道(かむながらのみち)の中にみることができます。

 神道では清浄を第一義としますが、「はらいきよめ」という概念は世界的にみても珍しいものです。まず「はらい」とは「張る霊(はるひ)」のことで、精神がほどよく緊張した状態を表しています。また「きよめ」とは「気蘇め(きよめ)」であり、気が蘇るという意味です(ちなみに「蘇る」は「黄泉帰る」)。つまり「はらいきよめ」とは、「気を蘇らせてほどよく緊張した精神状態を保つ」ということになります。

 また「穢れ(けがれ)」とは「気枯れ」であり、「罪」とは「包み」が約(つづ)まったもので、魂を包み隠すという意味です。つまり「罪、穢れを祓い清める」とは、「魂が魄によって包み隠され、気が枯れてしまった状態から、再び精神が緊張を取り戻して気が蘇える」という意味になり、魂が魄を制する状態にリセットして、精神を健全(かむながら)に保つ手段であることがわかります。

 具体的には、まず神社でのお祓いが思い浮かぶでしょう。その所作は、まず神主がやまとことばによる「禊祓詞(みそぎはらえのことば)」を奏上して言霊(ことだま)の力によって祓い清め、さらに木の棒に麻と紙垂(しで)が結びつけられた大幣(おおぬさ)を頭の上で左右に揺り動かし、その清風によって邪気を祓います。(麻などの植物や、それを原料として作られた和紙には邪気を祓う力があるとされています。)
 日本の神社では、今でも毎日神主がやまとことばによる祝詞(のりと)を奏上し、また定められた日ごとに神祭が執り行われていますが、一般の日常生活をみても、正月の初詣にはじまって、節分の豆まき、雛祭り、端午の節句の行事、七夕祭り、神社の夏祭りや秋祭りなど、季節ごとに祓い清めの行事が民間の風習として残っています。
 食前やトイレの後に手を洗い、家に帰るとうがいをする行為も邪気祓いの概念からくるものですが、こういった例は枚挙にいとまがなく、日本の文化は「はらいきよめ」と密接に結びついていることがわかります。
 
 
 
清風道人
カテゴリ:玄学の基本
 

←前へ

|

次へ→

 

最初の記事からのリスト
 
 ▼関連記事一覧
#0017 2010.2.27
心の中の葛藤とは?
 道教は中国古学ともいえるもので、『雲笈七籖(うんきゅうしちせん)』や『抱朴子(ほうぼくし)』などの道書類には、この魂魄についても「三魂七魄」という説があり、よくその説明がなされています。 #0015【人間の本性は善か悪か?(1)】>> #0016【人間の本性は善か悪か?(2)】>>

 まず三魂とは、その名を「爽霊(そうれい
カテゴリ:玄学の基本 続きを読む>>
 
#0016 2010.2.22
人間の本性は善か悪か?(2)
 また、魂のはたらきを性(やまとことばではココロネ)といい、魄のはたらきを情ともいいますが、これだけ聞くと、情というものは悪しきものであると思われるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。
 性にしたがう情であれば、つまり魄が魂にしたがっているわけですから、これは人間にとって最も善い状態といえるでしょう。しかし性にしたがわない情は、
カテゴリ:玄学の基本 続きを読む>>
 
#0015 2010.2.17
人間の本性は善か悪か?(1)
 人間の本性が善であるか悪であるかについては、主に儒教などで語られてきましたが、日本古学では次のように説かれています。

 実は人間の霊魂の活用には、魂(こん)と魄(はく)の二種類の区別があります。魂魄(こんぱく)というのは漢字の音読みですが、これをやまとことばでは、魂を「みたま」あるいは「をだましひ」、魄を「みかげ」あるいは「めだましひ」と
カテゴリ:玄学の基本 続きを読む>>
 


 
 
 
 (google
     新規会員登録
 
カードでのお申し込み
銀行振込でのお申し込み
 
◎特定商取引に基づく表記
◎プライバシーポリシー
SSLページは通信が暗号化され
プライバシーが守られています。

携帯サイトはこちらから
 お知らせ
 
◎(NEW!)新規会員登録停止のご案内
  

◎『日本古学アカデミー全集 第三巻』が出版されました。
  

◎『日本古学アカデミー全集 第二巻』が出版されました。
  

◎日本古学アカデミーが書籍になりました。『日本古学アカデミー全集 第一巻』
  

◎携帯サイトURLはこちら
  

◎今後の掲載予定
  

  Q&A(会員様のみ)
 
質問をする(会員様のみ)
今までの質問へのお答え
◎縄文時代について
◎カード占いについて
◎「福寿光無量」について(二)
◎「福寿光無量」について
◎産土神社について
◎五節句の清祓修法
◎祝詞の発音
◎神道と修験道の違い
◎四魂のバランス
◎神様からのメッセージ
◎肉親の仲
◎魂魄清明
◎マインドフルネスについて
◎同性婚について
◎大祓詞について
◎滝行について
◎産土神について
◎日本古学を深く学ぶために
◎宮中で女性がお仕えするわけ他
◎天孫降臨の地
◎「道を得る」を登山に例えると
◎「縁」は「産霊の徳」によって編まれる
◎宮地神仙道について
◎日本の国体を護持される高僧
◎社会人としてのマナーを守りましょう
◎「悟り」を日本古学的に考えると
◎それぞれの「道」
◎神仙の道を修するということ
◎真偽の見分け方
◎「仙童」寅吉が念仏仏教を嫌った訳
◎道を得る法
◎少名彦那神が常世国へ渡られた理由
◎ヤマタノオロチと熊野
◎先祖供養について
◎イエス・キリストのこと
◎己の器の大きさを知る
◎魂で感じる
◎ダークエネルギーとダークマター
◎宇宙の意思
◎幽界と顕世は表裏一体
◎神仙得道の法
◎輪廻転生
◎仏縁
◎神火清明 神水清明
◎鏡について(2)
◎鏡について
◎洗米の処理
◎霊症から身を守る方法
◎罪穢れの解除
◎霊性向上とは?
◎大物主神(2)
◎大物主神
◎妖怪とは?
◎天皇を祀る
◎神=エネルギー?
◎はらいきよめ
◎人はなぜ生まれ変わるのか?
◎たましひの響き
◎動物について
◎生命が宿る瞬間
◎オーラ
◎「気」について
◎女性と黄泉国
◎アトランティス文明について
◎太陽と月と地球の関係
◎「心と体のリセット」について
 
 閲覧回数トップ10
悠久不死の玄道(1) -人生の疑問-
水位先生と神通(1) -英雄万古の悲哀-
祈りの真道(1) -人の生涯は祈りの連続-
神通の玄理(1) -霊魂凝結の道-
仙去の玄法(1) -日本武尊の尸解-
求道の本義(1) -人生は大移住旅行の一過程-
霊魂と肉体(6) -霊魂の種子-
宮地神仙道修真秘訣(1) -神識と魂魄-
天地組織之原理(116) -皇産霊神の長子-
天地組織之原理(111) -造化と神政-

 
  カテゴリ
玄学の基本
日本の神伝
世界太古伝実話
『仙境異聞』の研究
神仙の存在について
神道講話
清明伝
神道宇宙観略説
尸解の玄理
『幽界物語』の研究
怪異実話
『異境備忘録』の研究
『本朝神仙記伝』の研究
無病長生法
扶桑皇典
君子不死之国考
神剣之記
日本は神仙往来の要路
東王父・西王母伝
混沌五岳真形図説
生類の霊異
空飛ぶ人々
霊魂と肉体
神人感合説
水位先生の門流
祈りの真道
霊魂の研究
悠久不死の玄道
宮地神仙道要義
水位先生と神通
宮地神仙道修真秘訣
仙去の玄法
神通の玄理
求道の本義
真誥
奇蹟の書
天地組織之原理
 
 以前の記事
2024/3
2024/2
2024/1
2023/12
2023/11
2023/10
2023/09
2023/8
2023/7
2023/6
2023/5
2023/4
2023/3
2023/2
2023/1
2022/12
2022/11
2022/10
2022/9
2022/8
2022/7
2022/6
2022/5
2022/4
2022/3
2022/2
2022/02
2022/1
2021/12
2021/11
2021/10
2021/9
2021/8
2021/7
2021/6
2021/5
2021/4
2021/3
2021/2
2021/1
2020/12
2020/11
2020/10
2020/9
2020/8
2020/7
2020/6
2020/5
2020/4
2020/3
2020/2
2020/1
2019/12
2019/11
2019/10
2019/9
2019/8
2019/7
2019/6
2019/5
2019/4
2019/3
2019/2
2019/1
2018/12
2018/11
2018/10
2018/9
2018/8
2018/7
2018/6
2018/5
2018/4
2018/04
2018/3
2018/2
2018/1
2017/12
2017/11
2017/10
2017/9
2017/8
2017/7
2017/6
2017/5
2017/4
2017/3
2017/2
2017/1
2016/12
2016/11
2016/10
2016/9
2016/8
2016/7
2016/6
2016/5
2016/4
2016/3
2016/2
2016/1
2015/12
2015/11
2015/10
2015/9
2015/8
2015/7
2015/06
2015/5
2015/4
2015/3
2015/2
2015/1
2014/12
2014/11
2014/10
2014/9
2014/8
2014/7
2014/6
2014/5
2014/4
2014/3
2014/2
2014/1
2013/12
2013/11
2013/10
2013/9
2013/8
2013/7
2013/6
2013/5
2013/4
2013/3
2013/2
2013/1
2012/12
2012/11
2012/10
2012/9
2012/8
2012/7
2012/6
2012/5
2012/4
2012/3
2012/2
2012/1
2011/12
2011/11
2011/10
2011/9
2011/8
2011/7
2011/6
2011/5
2011/4
2011/3
2011/2
2011/1
2010/12
2010/11
2010/10
2010/9
2010/8
2010/7
2010/6
2010/5
2010/4
2010/3
2010/2
2010/1
2009/12
 
 
 
サイトご利用にあたって プライバシーポリシー 会員規約 お問い合せ
Copyright(C) NIHONKOGAKUACADEMY