日本古学アカデミー

#00173 2012.5.29
綾に畏き天津日嗣の御爾

 


 天津日嗣(あまつひつぎ、皇統)の御爾(みしるし)である三種(みくさ)の神器(かむたから)は、第十代崇神(すじん)天皇の御世(紀元前97~30年)までは天皇陛下と同じ御殿に斎(いつ)き祭られていましたが、御神示により、鏡と剣の二種は別所にて祭られることとなり、皇居神殿にはその御写(みうつし)が祭られることとなって現在に至っています。 #0172【三種の神器の霊的意義】>>

 鏡は伊勢神宮、剣は熱田神宮の御神体となっていますので、一般の方も近くで参拝することができますが、勾玉は別天(ことあめ)の大主宰・天之御中主神の御魂代(みたましろ)であり、別天神(ことあまつかみ)は尊き神仙界の神々が拝するほどの大神で、中でも天之御中主神は宇宙を主宰する最高神ですので、天津神の子孫でなければ祭ることが許されないため、今も皇居吹上御殿の剣璽(けんじ)の間に深く隠されてひっそりと斎(いつ)き祭られています。 #0033【「別天」とは?】>>
 この事実からわかるように、全国十数万に上る神社の中で最高位は皇居御所であり、平田篤胤先生が『毎朝神拝詞記』に記されている「まず第一に拝すべきは皇居」というのもうなずけます。
(ちなみに、勾玉は日本各地の古代遺跡から発見されており、遥か太古の昔から祭祀に用いられてきたことがわかりますが、日本の縄文時代の遺跡から出土するものが最も古く、後に朝鮮半島に伝播したことが明らかになっています。)

「大己貴神(おおなむちのかみ)、乃(すなわ)ち国平(くにむ)けし時に杖(つ)けりし広矛(ひろほこ)を以て、二(ふたはしら)の神に授(たてまつ)りて曰(のたま)はく、「吾この矛(ほこ)を以て、卒(つい)に功治(ことな)せること有り。天孫(あめみま)、もしこの矛を用(もっ)て国を治(し)らせば、必ず平安(さき)くましなむ」とのりたまふ。」『日本書紀』

 この『日本書紀』の伝は、大己貴神(大国主神)が地球上の主権を皇孫命(すめみまのみこと)に譲ることになった際、天津神の神使の二神(建御雷神(たけみかづちのかみ)及び天鳥船神(あめのとりふねのかみ))に対して、「私はこの矛によって功業を成すことができました。皇孫命(すめみまのみこと)がこの矛を用いて国を治めれば、必ず平安な世となるでしょう」と、自らが愛用した広矛(ひろほこ)を奉ったという伝ですが、元々この広矛は、大国主神の幸魂(さきみたま)奇魂(くしみたま)の神が海を照らして寄り来た時に携えていた沼矛(ぬほこ)ですので、大国主神の御魂代(みたましろ)といえます。 #0118【大国主神の幸魂奇魂】>>  #0132【幽顕分政の神勅下る】>> (大国主神の別のご神名を八千矛神(やちほこのかみ)と称するのはそのためです。 #0101【神代第四期のはじまり】>> )

 そして、皇孫降臨の際、三種の神器に添えて、この広矛も皇孫命に授けられたことが伝えられていますが、第五代孝昭天皇の御世(紀元前475~393年)に至り、大己貴神(大国主神)の御神示によって天照大御神の神実(かむざね)と同じ御床(みゆか)に祭られることとなりました。しかしその後、崇神天皇の御世に至り、三種の神器の鏡・剣と同様に別所に祭られることとなり、大和(おおやまと)神社に鎮まることになったことが伝えられています。

つまり、皇統の御爾(みしるし)は、

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となり、主権君位の神々の御魂代が尊き天津日嗣(あまつひつぎ)を守護なさしめ給うこととなっており、まさに掛巻(かけまく)も綾(あや)に畏(かしこ)きことであります。 #0105【主権君位の神】>>

清風道人

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