日本古学アカデミー

#0069 2010.11.30
神代第三期のはじまり -月の分体-

 


 神霊変化の時代ともいえる神代第二期に続いて、神代第三期は太陽と地球と月がしだいに整えられ、地球上に人間や動植物の原種が発生しはじめる天地定位種業興基の時代といえるでしょう。 #0048【神生みの時代】>>

「かれ、各(おのおの)依(よ)さしたまひし命(みこと)のまにまに知らしめす中に、速須佐之男命(はやすさおのみこと)よさしし国を治(し)らさず、八拳須(やつかひげ)心前(むなさき)に至るまで啼(な)きいさちき。」『古事記』

 神代第二期の終わりに化生した須佐之男命は、 #0049【化生神と胎生神】>> 天照大御神が太陽神界の主宰神として任命されると共に、初代地球主宰神である父神伊邪那岐神によって、地球の第二代主宰神として任命されました。 #0062【三貴子の誕生】>> しかし父神の命(めい)による地球修理固成の神業を、「八拳須(やつかひげ)心前(むなさき)に至るまで」つまり久しく時が過ぎたにもかかわらず全く行おうとせず、ただ泣き叫んでいるばかりでした。

「その泣きはかる状(さま)は、青山を枯山(からやま)の如く泣き枯らし、河海は悉(ことごと)に泣き乾(ほ)しき。これを以て悪神(あらぶるかみ)の音なひ、狭蝿如(さばえな)す皆満ち、万(よろず)の物の妖(わざわい)悉(ことごと)に発(おこ)りき。」『古事記』

 この伝は、須佐之男命が泣き叫ぶ神威によって地球上の水気が大量に減り、山野の草木もことごとく枯れ、多くの禍神(まがかみ)が出現して多くの災いが起こったという内容ですが、これは実に須佐之男命の地球と月にわたる修理固成の神業とうかがわれます。
 なぜなら、地球内部の黄泉国(よみのくに)の主宰神である母神伊邪那美神も、月が完成した後は黄泉国の本府を月へ移す必要がありましたが、 #0057【女神の御心 -母性愛の起源-】>> この時はまだ、神代第一期に生まれた「水蛭子(ひるこ)」と呼ばれる原始月球体が完全に地球から分離していない状態でした。それが「泣きはかる」須佐之男命の健(たけ)き神威によって、その原始月球体が完全に地球から分離し、 #0034【地球の修理固成】>> 「河海は悉(ことごと)に泣き乾(ほ)」し、つまり地球上の水気が月に引かれたために海面が下がり、後の人間や動植物が生息するための陸地が海上に隆起することになったものとうかがわれます。また、後に「月読命(つきよみのみこと)」の称号で須佐之男神が月界(黄泉国)の主宰神となることも、この月の分体を行った因縁によるものと考えられます。
 また、「これを以て悪神(あらぶるかみ)の音なひ、狭蝿如(さばえな)す皆満ち、万(よろず)の物の妖(わざわい)悉(ことごと)に発(おこ)りき」とは、地球内部の黄泉のモノたちがこの大変動によって地球上に現れたということで、つまり重濁なる月の分体による現象と考えられます。今の世の人でも、ひどく動揺し、取り乱して泣き叫ぶことによって黄泉のモノを呼ぶことができます。 #0006【太陽と月と地球の関係】>> #0044【祈りのメカニズム(4)】>> #0056【神々の怒り】>> 

 月は地球より分体したため、その後も地球の周りを旋回していますが、人類女性の始祖ともいえる伊邪那美神が月の内部の界(黄泉国の本府)に鎮まることによって、とくに女性の身体が月の運行と深い関係を有することも因縁といえるでしょう。 #0005【わたしたちの肉体は月と同質?】>> #0007【潮の干満と生命】>>

 わたしたち人類の文明は、石油や石炭などによって支えられてきたといっても過言ではありませんが、これらの化石燃料も、元々はこの地球と月の分界による大変動によって草木が枯れて土中に埋もれたことを発端として造化されたものと考えられ、その後の地軸の傾斜による大変動や、大洪水などの天変地異によって、長い年月を経てさらに人間やその他の動植物が生息するための地球環境が整備されていったことに深い感銘を覚えます。「災い転じて福となる」や「雨降って地固まる」などのことわざは、人間世界だけに当てはまるものではなく、宇宙規模の自然の摂理であることがわかります。

清風道人

カテゴリ:日本の神伝
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