日本古学アカデミー

#0054 2010.9.13
火神の変化無量の霊徳

 


 火神(ひのかみ)は神々の中でもとくに変化無量の玄妙なる霊徳をそなえているため、この神の徳が加わる時は今の人の世においても不可思議な変化が起こります。 #0052【火神の剣尸解(1)】>>

 この自然界にある万物は元素が凝結したものですが、すべて即化する(一瞬の内に変化する)ものではなく、順化する(時間をかけてしだいに変化する)ものです。卵の殻を破って外界に出てきた生体は時間の経過とともにしだいに形体が変化しますが、もし一瞬の内にそのような変化が起これば、この世界では奇跡といえるでしょう(卵の中身はクラゲナスタダヨヘル状態であり、それが修理固成されて骨格や筋肉や内臓などに変化すること自体が奇跡といえば奇跡ですが)。 #0032【太陽の成立】>> #0036【神代第一期補遺(2)】>> 

 しかし火徳が加わることによって、即化の神術ともいうべき奇跡が当たり前のように起こります。前にも述べましたが、陶器のようにはじめは柔軟なものを石質に即化させるのは火徳です。 #0053【火神の剣尸解(2)】>>
 そしていったん石質に変化した以上は、再び火でその質を変ずることがなければ、たとえ粉々になっても石質が変化することはありません。また、金属のように強固なものを作り上げるのも火徳です。これに対して、物質である万物を即時に変化させるのも火徳であり、どんなに大きく、どんなに強固な建物でも、火徳が加わると短時間で消滅してしまいますが、まさに玄妙不可思議な即化の神術といえるでしょう。また、草木に火徳が加わると炭となり、浄化能力が優れた物質に変化することは、火徳によって物質が変化する火尸解の神術といっても良いでしょう。
 この火徳による即化の奇跡について、わたしたちが不思議に感じないのは、それが日常の習慣となっているからに他なりません。

 宇宙間の玄妙不測の変化はもとより人間界において製作する物品の変化に至るまで、火神の徳が加わらなければ成しえないことを思えば、「変化の本源は火神に帰す」といっても過言ではないほどのご神徳であり、火神の御子である和久産霊神(わくむすびのかみ)は、動物や昆虫、魚類だけでなく五穀の元種までも生み成す霊徳をそなえていることが伝えられています。
 また、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)の指の間から漏れ落ちた火神の血によって化生した龗神(ろうしん)の子孫である龍が、現在でも幽界や顕界を往来するほどの無量の変化の徳をそなえているのも、この火神の系統をひいているためと考えられます。 #0025【密接に関わりあう顕と幽】>>

 わたしたち人類がいつから火を使いはじめたのか定かではありませんが、火を用いるようになってから、飛躍的に人間界が発展したことは間違いないでしょう(神代第四期の大国主神の時代において、人類に火食の道が開けたことが伝えられています)。現在のわたしたちの文明を支える電力などもすべて火徳より起こるものであり、また日・火・霊が同じ性質をそなえていることを思い起こせば、火徳による恩恵を決して忘れてはならないことがわかります。 #0002【森羅万象を説く「五元」の説】>> #0004【わたしたちの生命は太陽と同質?】>>

清風道人

カテゴリ:日本の神伝
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