日本古学アカデミー

#00170 2012.5.11
初代天皇命、定まる

 


 神代第四期の終盤において、大国主神が豊葦原之千秋長五百秋之水穂之国(とよあしはらのちあきながいほあきのみずほのくに、地球のこと)を皇孫命(すめみまのみこと)に奉ることを了承し、幽界(かくりよ)の大神として幽府に入ることとなり、また地球上の荒振神(あらぶるかみ)も平定したことを、建御雷神(たけみかづちのかみ)が高天原にます高木神(たかぎのかみ、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)のこと)並びに天照大御神に報告し、ここにいよいよ皇孫命(すめみまのみこと)の降臨が実行されることとなりました。 #0101【神代第四期のはじまり】>> #0135【地球上の幽顕の組織定まる】>>

「ここに天照大御神、高木神の命(みこと)以(もち)て、太子(ひつぎのみこ)正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)に詔(の)りたまはく、「今、葦原中国(あしはらのなかつくに)を平(ことむ)け訖(お)へぬと白(まお)す。かれ、言依(ことよさ)し賜(たまえ)りしまにまに、降りまして知ろしめせ」とのりたまひき。」『古事記』

 天照大御神の御子である天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)に対し、天照大御神及び高木神(高皇産霊神)より「葦原中国(地球のこと)に降ってその国を治めよ」という神勅が発せられたという伝ですが、はじめに天照大御神より天忍穂耳命にこの神勅があった時は、未だ地球上が平定されておらず、その後たびたび神使を遣わせてついに準備が整い、改めて神勅が発せられたものとうかがわれます。 #0072【宇気比の神術】>> #0121【幽顕分界の気運高まる】>>

「ここにその太子(ひつぎのみこ)、正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)、答(まお)したまはく、「僕(あ)は降り装束(よそい)せし間(ほど)に、子(みこ)生(あ)れましつ。名(みな)は天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(あめにぎしくににぎしあまつひたかひこほのににぎのみこと)、この子(みこ)を降すべし」とまをしたまひき。この御子は、高木神の女(みむすめ)、萬幡豊秋津師比売命(よろずはたとよあきつしひめのみこと)に御合(みあ)ひまして生みませる子(みこ)、天火明命(あめのほあかりのみこと)、次に日子番能邇邇芸命(ひこほのににぎのみこと)なり。」『古事記』

 天忍穂耳命が天降る準備をしていたところ、御子が生まれたため、代わりにその御子(邇邇芸命)を天降すように天照大御神に進言したという伝ですが、『日本書紀』には「則(すなわ)ち高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)の女(みむすめ)、号(みな)は万幡姫(よろずはたひめ)を以て、天忍穂耳尊に配(あわ)せて妃(みめ)として降しまつらしめたまふ。かれ、時に虚天(おおぞら)に居(ま)しまして生める児(みこ)を天津彦火瓊瓊杵尊(あまつひこほのににぎのみこと)と号(まお)す。因(よ)りてこの皇孫(すめみま)を以て親(かぞ)に代へて降しまつらむと欲(おもお)す」とあり、つまりこれは高天原(太陽神界)ではなく、前回の実見調査と同じように、天浮橋(あめのうきはし)での出来事と考えられます。 #0122【天浮橋は空中の気道】>>

 邇邇芸命(ににぎのみこと)がこのタイミングで生まれたことは偶然ではなく、高皇産霊神の神慮によるものとうかがわれますが、この時皇孫命(すめみまのみこと)として選ばれたのが、なぜ長子の天火明命(あめのほあかりのみこと)ではなく邇邇芸命だったのかは定かではありません。
 しかし別の伝承によれば、天火明命は別のご神名を邇藝速日命(にぎはやひのみこと)と称し奉り、天照大御神より十種(とくさ)の神宝(かむだから)を授かって秘かに天降り、後に邇邇芸命の神孫である神武天皇を助けたことが伝えられていますので、これも神妙不可思議なる神量(かむはかり)だったものとうかがわれます。 #0110【大屋毘古神のカムハカリ】>>

「ここを以て白(まお)したまふ随(まにま)に、日子番能邇邇芸命(ひこほのににぎのみこと)に詔(おお)せて、「この豊葦原水穂国(とよあしはらのみずほのくに)は、汝(いまし)知らさむ国なり」と言依(ことよ)さしたまふ。「かれ、命(みこと)の随(まにま)に天降るべし」とのりたまひき。」『古事記』

 ここに改めて天照大御神による神勅が発せられ、天忍穂耳命の御子である邇邇芸命が、初代天皇命(あめのすめろぎのみこと)として地球上を治(し)ろしめすために天降ることとなりました。

清風道人

カテゴリ:日本の神伝
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