日本古学アカデミー

#00679 2020.10.10
宮地神仙道修真秘訣(5) -感を以て胎を得る-

 


「弟子曰く、体中現幽あるや如何と。余(よ)曰く、昼夜は顕幽なり。体中又有り。(体と魄とは顕物なり。気と魂とは幽物なり。)魂魄これなり。魂は陽にして幽を好み、魄は陰にして顕を好む。(魂はその質、冷を嫌ひ、魄はその質、煖を嫌ふと雖(いえど)も、魂の幽陰を好み魄の現陽を好むはこれ天の妙理にして、男の女を好み女の男を好むもこれ同じ。日月主宰神に於て故有り。(故に幽魂の世に出るや大抵深夜を以てす。昼見(あら)はるゝは至って稀なり。) #0630【霊魂と肉体(8) -魂魄-】>> #0675【宮地神仙道修真秘訣(1) -神識と魂魄-】>>
 夫れ人に寤寐(ごび)有るは又顕幽なり。(醒めて働あるは顕道なり。眠りて静あるは幽道なり。)魂眠れば則ち体随ひて眠り(人眠りて気血の運動あるは魂魄の一分これを司る、これを名(なづ)けて運化の魂魄と曰ふ、これ唯気血運化の功有るのみ。故に五官その業を休むも又睡中に於て他人大声を発すれば則ち耳垂れて魂に通じ、魂忽然として醒め五官の業を興す。故に耳は睡中の奇物なり)、魂醒むれば則ち体また醒む。人死すれば則ち魂、幽に入りて眠らず。」(『玄道或問』)

「弟子曰く、先生唯自然を尊ぶ、自然なる物は何ぞやと。余答へて曰く、自然は唯自然にあらず、自然を主(つかさど)るの神あり。造化三神並びに日月を曰ふなり。(自然を主るの神は造化の神にして、万物の成長を主るは皆これに係る。造化神は日月なり。造化の大元は三神なり。)」(『玄道或問』) #0473【扶桑皇典(3) -天地開闢・上-】>> #0474【扶桑皇典(4) -天地開闢・中-】>> #0475【扶桑皇典(5) -天地開闢・下-】>>

「夫れ人は殺生の妙器たり。玄一(げんいつ)は妙器の主たり。故に玄一去れば則ち器弊(やぶ)れ神逝く。(玄一は万物に範疇(はんちゅう)して自然に速発するの霊なり。)この故に道を知るの士は醇陽(じゅんよう)を招いて玄一を養ひ、身の察々を以て物の汶々(もんぼん)を受けず。恒に無塵の室に居し、我が玄一を以て天の玄一に合し、自ら卜(ぼく)して無象の象を得、自ら感じて玄胎を化作(けさ)す。これを内感と曰ふ。(自己の霊を身外に感ず、これを内感中の外感と曰ふ。人、自己の霊を以て神に感ず、これを自感と曰ふ。又自己の思を以て他人をして神に感ぜしむ、これを他感と曰ふ。神自ら己に感ず、これを神感と曰ふ。また感は神通の要路にして識神の遷る所なり。)
 天の玄一、我に借すに感神を以てす。(感神は識神の使なり。)感神は内外に出入するの霊物にして、気に頼(よ)りて発す。道を知るの士はこれを用ひて竭(つ)きず。この神を以て内外の玄一に通ずれば、則ち万物の化百事の変、己に応ぜざるは無し。これに由りてこれを観れば、玄を体するの術は我に在りて他に在らず。」(『玄道或問』)

 『玉女(ぎょくじょ)隠微』に「人は気中に存す、この気即ち四大の真気にして生霊(せいれい)の依る所なり、天地間万物の生霊この気中に充満す、この故に感を以てすれば万物応ぜざるは無し」とあるは、内外出入の霊物たる感神(識神の使)の気に頼りて連発する消息を説いたものである。
 『元々録』には「感想の術を知る者は百術みな畢(おわ)る、万法の大元は感想の道なり、この法を修得する者は万術已(すで)に畢る」と曰ひ、『三仙経』には「玄一感想の法は神中の秘訣にして万術の大祖なり」とある、みな感の神通の要路たる所以(ゆえん)を説いたものである。

「夫れ妙を求むるの術は、感の一事に止まる。感を知る者は天の玄一に随ひて眩(くら)まず。感を以て胎を得る者は魂を抱いて内外に出入し、一を守りて蝉(せみ)の如くに脱し蛇の如くに解きて天庭に遊び、惚然(こつぜん)として幽に入り恍然(こうぜん)として現に出ず。貴人もその位を比ぶること能(あた)はず、智士明賢もその心を同じくすること能はざるは感の尊なり。」(『玄道或問』)

 「感を以て胎を得る」とは、修煉の究極たる霊胎(玄胎)凝結を指すものである。霊胎結成の原理及び方法に就ては、先師水位先生の秘文『霊胎凝結口伝』に拠られ、併せて本編を照合せらるれば啓発する所少なからざるべきを確信する。 #0662【宮地神仙道要義(12) -修練の究極・霊胎結成法-】>> #0663【宮地神仙道要義(13) -霊胎凝結口伝(1)-】>> ~ #0669【宮地神仙道要義(19) -霊胎凝結口伝(7)-】>>

清風道人

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