日本古学アカデミー

#00123 2011.8.25
民主主義の起源

 


「ここに高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、天照大御神の命(みこと)以(もち)て、天安河(あめのやすかわ)の河原に八百万神を神(かむ)集へに集へて、思金神(おもいかねのかみ)に思はしめて詔(の)りたまはく、「この葦原中国(あしはらのなかつくに)は、我が御子の知らさむ国と言依(ことよ)さしたまへる国なり。かれ、この国に千早振(ちはやぶ)る荒振る国神等(くにつかみども)の多(さわ)なると以為(おも)ほすは、何れの神を使はしてか言趣(ことむ)けまし」とのりたまひき。」『古事記』

 「天安河」は、須佐之男命と天照大御神の宇気比(うけい)の段(くだり)にも出てきますが、高天原(太陽神界)にある川で、その河原で高皇産霊神(たかみむすびのかみ)と天照大御神が八百万神を集めて会議を開催することとなりました。 #0072【宇気比の神術】>> 天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)の実見調査によって、地球上には荒振る神等が多く、天下泰平ではないことが判明しましたが、「次にどの神を派遣するか?」というのが会議の議題となっています。 #0122【天浮橋は空中の気道】>>
 (思金神とは八意思兼神(やごころおもいかねのかみ)のことで、火神(ひのかみ)迦具土神(かぐつちのかみ)の神孫にあたり、天児屋根命(あめのこやねのみこと)の父にあたる神です。この神はご神名のとおり、智(さと)り深き神で、臣位の長ともいうべき神であるため、高天原で神議を行う際には議長として、八百万神の神議の趣旨を深く思い議って上奏されることとうかがわれます。 #0078【天石屋隠れ -三種の神器の起源-】>> #0079【人類物質世界開闢のため】>> )

 さてこの伝ですが、天地開闢以来、天津御祖大神(あまつみおやのおおかみ)たちは、主権君位の神でありながらも独断ではなく、臣位の八百万神を集めて神議(かむはか)りを行って神政を行いました。 #0105【主権君位の神】>> #0106【神々の社会】>> 
 世の多くの人は、現在の民主主義や国会は西洋から出たものであると認識しているようですが、それは大きな誤りで、遠く神代の時代において、天津神によって万神による神議の原則が立てられたことがこの伝からわかります。もちろん西洋各国にこの神伝はありませんが、文明が開けるに従って、知らず知らずのうちに各国ともこの神政に習って会議法を採用することとなったのは、まさに天地自然の摂理といえるでしょう。 #0094【世界太古伝実話(3)-最も早く開けた国】>> #0095【世界太古伝実話(4)-大元の神の意志-】>>
 しかし日本以外の国は、皇室という万世不変の神定による主権君位が存在せず、人定の政権君主であるため、政権の変動によって絶えず革命や戦乱が生じてきました。万世一系の皇室という君位をいただいている日本の国体がいかに尊いかが、これによってわかります。 #0046【陰徳を積む】>>

 さてこの時は天安河の河原が高天原の会議場となり、高皇産霊神、天照大御神が君臨し、八百万神を神集いに集いて大憲を立てられたわけですが、無上至尊である高皇産霊神、天照大御神といえども、神政上の重大な決定を独断でされることなく、臣位の八百万神と神議り給い、その奏するところに従って行われることとうかがわれますが、後世の人間もこれに神習うべきものと思われます。

清風道人

カテゴリ:日本の神伝
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