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#00690 2020.12.15
宮地神仙道修真秘訣(16) -万法の大元は感想の道-
 
 
 上の十二感想の秘法は僊官至人の極めて重んずる所にして、世々血を啜(すす)りてその十二法名を伝へ術を秘して授けざるなり。
(清風道人云、「血を啜りて」とは師弟が互いに血を出し合い、それを互いに飲む儀式を行うこと。仙家に於ては、弟子が生涯を賭けた尊い汗と膏(あぶら)の結晶をもって金人金馬を調(ととの)えて師家に捧げると、師家はそれを見ることあたかも路傍の土石の如くポンと深淵に投げ込んで、さて始めて伝法を許したのでした。 #0382【水位先生の門流(4) -道統第四代・南岳先生-】>> )

 『道蔵経』に曰く、「感想の秘術は五百年に一度出して好道の仙官至人に伝ふ。これを伝ふるに血を啜りて盟(ちか)ひ、質(にえ)を委(ゆだ)ねて約を為し、香を焚いて内外を静謐(せいひつ)にしその要言を伝ふ」と。『元々録』に曰く、「感想の術を知る者は百術皆畢(おわ)る」と。又曰く、「万法の大元は感想の道なり。この法を修得せる者は万術已(すで)に畢る」と。『五帝真経』に曰く、「神僊の重んずる所は感想の法なり。これを知る者は不老不死なり云々」と。『三仙経』に曰く、「玄一感想の法は神中の秘訣にして、この法を知る者はその身を分かちて二人と為す。変化自在の術にして万術の大祖なり云々」と。

 『抱朴子』に曰く、「これを師に聞くに云ふ、道術の諸経には思存し念作りて以て悪を卻(しりぞ)け身を防ぐべき所のもの乃ち数千法あり。影を含み形を蔵(かく)し及び形を守り、生ずること無くして九変十二化二十四生する等の如き、身中の諸神を見んことを思うて内観し、これを見せしむるの法は勝(あ)げて計らふべからず。また各々効あるなり云々」と。
 又曰く、「よく一を知れば則ち万事畢るものなり云々」と。又曰く、「玄一を守り併せてその身の分かれて三人と為ることを思ひ、三人已に見(あらわ)るれば、又これを益して数十人に至らしめ、皆己の身の如くならしむべし。これを隠しこれを顕すには皆自ずから口訣あり。これ所謂(いわゆる)形を分かつの道にして、左君及び薊子訓(けいしくん)、葛仙公のよく一日に数十所に至り、客有るに及びては坐上に一主人ありて客と門中に語り、又一主人ありて客を迎へ、而して水側に又一主人ありて鈎(はり)を投じ、実は何れの者の真の主人たるかを別つ能(あた)はざりし所以(ゆえん)なり。師の曰く、一を守り兼ねて明鏡を修すべし。その鏡、道成る時は則ちよく形を分かちて数十人と為る。衣服面貌、皆一の如し云々」と。『得道全経』に曰く、「神仙秘する所は内観玄一の真訣なり云々」と。 #0118【大国主神の幸魂奇魂】>> #0138【『仙境異聞』の研究(3) -山人の霊徳-】>>

 堅磐(水位先生)曰く、彼(か)の坐禅なるものは内観導引の一端に似て、只静坐念想観の事を解するのみ。これ仙家の誤伝にして、只悟道を謂ひて真法を知らざるなり。
 夫(そ)れ坐禅法に曰く、尋常の坐所には厚く坐物を敷き、上に蒲団を用ふ。或は結跏趺坐(けっかふざ)し或は半跏趺坐す。結跏趺坐は、まず右足を以て左の腿(もも)の上に安んじ、左足を右の腿の上に安んず。半跏趺坐は只左足を以て右の腿に壓(あっ)するのみ。寛(ゆる)く衣帯を繋(か)け斎整(せいせい)ならしむべし。次に右手を左足の上に安んじ、左手を右手の上に安んじ、両の親指は面して相拄(あいささ)ふ。

 乃ち正身端坐、左に側(そばだ)ち右に傾き前に躳(かがま)り後ろに仰ぐを得ざれ。耳と肩と対し、鼻は臍(へそ)と対せしむるを要す。舌は上顎に掛け、唇歯相著(あいつ)け、目は須(すべか)らく常に開き、鼻息微(かす)かに通ぜしめ、身相既に調へば、欠気一息し、左右に揺振し、兀々(こつこつ)坐定(ざじょう)して箇(こ)の不思量底を思量す、不思量底如何が思量せんと。
 これ乃ち坐禅の法なり。この法は七十余術あるも、皆大同小異なり。余(よ)、道書を閲するに不要のもの二千巻に近し。而して又その中にも疑事あるなり。余の今編集する所のものは仙中の秘法なり。

「これ則ち霊妙至枢変化の大元にして、心こゝにあらざればこれを視れども見えず、これを聴けども聞えず。これを存すれば則ち在り、これを忽(ゆるが)せにすれば則ち亡し。これに向へば則ち賢、これに背けば則ち愚、これを保てば則ち仙、これを失へば則ち凡なり。」

 夫(そ)れ感想の術は神妙霊枢の秘法、変化の大祖にして、この門に入る者は凡学の輩の見聞に及ばざる所、而して又人これを修めんと欲せば嗜欲妄想を除き、清心を定めて修すれば則ち得るなり。
 又嗜欲纏汚(てんお)の輩はこれを忽せにす、故にその術を行はず、行はずして以て異端邪説と為す。況(いわん)や神僊の遠理、道徳真一(しんいつ)の幽玄をや。豈(あに)微妙を知らざる者、汝が汚心を謂はずして将(まさ)に直正を謗毀(ぼうき)せんとするをや。大愚の甚だしき者これなり。故にこれに向へば則ち賢、これに背けば則ち愚、これを保てば則ち仙、これを失へば則ち凡なり。

 夫れ凡人は唯美食好衣声色富貴を知るのみ。心を恣(ほしいまま)にし欲を盡(つく)す。故にこれを行うて得ざるや必せり。また天豈強(あなが)ちにこれに応ぜんや。故にこの感想を保ち得る者は仙なり。これを失へば則ち凡なり。これを得る者は幽顕に出入し、遠きを望みて以て百憂を忘れ、深きに臨んで朝饑(ちょうき)を知らず。入りては千門の焜熀(こんこう)に宴し、出でゝは朱輪の華儀を駆る。故にこれを得る者は仙なり。
 『玉女隠微』に曰く、「人は気中に存す。この気則ち四大の真気にして、生霊(せいれい)の依る所なり。天地間万物の生霊この気中に充満す。この故に感を以てすれば万物応ぜざる無し」と。

「この道は感想の二字に基く。而して玄門甚だ近しと雖も、僊名ある者にあらざれば軽授すべからざるなり。霊感の法は感想を以て本(もと)と為す。『博玄録』に曰く、止観内感法を知る者は、精霊の己に由(よ)るを知るなり。程子曰く、天地の間は感と応とのみ云々と。」

 堅磐曰く、感想の道に達する者は己の魂の霊妙なることを知るなり。又曰く、物に応ずるこれを霊と謂ふ。霊妙の枢智を発するこれを神(しん)と謂ふ。形を離れて遠く往くこれを遊魂と謂ふなり。又曰く、人心一念の誠至りて天地を動かし鬼神を驚かす。古今感通のこと勝(あ)げて計るべからざるなり。故に念なるものは感想の一端なり。
 上に述ぶる所の霊感の術十二法は感想の二字に基く。而して入口甚だ近しと雖も、神仙の極秘にして仙名ある者にあらざれば軽授すべからざるなり。(『神僊霊感使魂法訣』)
 
 
 
清風道人
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