『天地組織之原理』を著された美甘先生について、ご子息である光太郎氏が後に回想して、「父が多年『古事記』研究に薀蓄せし所を記述せんと着手せしは、明治20年頃で、家計上最も困難の際であった」「執筆の間に処しては、父は一意専心熱狂的に筆を執り、疲れれば昼夜の別なく眠るし、覚むれば夜中でも起きて机に向うた」「無資力の父がこの大部の著書の出版の功を完し、多年の志望を達成せしは、保護者の友人と門下生の方々の義捐金のお蔭であると感謝の意を吐露致しておられる」と述べられているように、この書を出版する迄に大変な苦労があったことが文面からも窺われます。